2009年11月12日更新
自民党から民主党に政権交代が起こり、鳩山首相は国連でアメリカと中国・インドなどの途上国の動向・取り組み如何ではという条件付きながらも、基準年(1990年)の二酸化炭素25%の削減を国際的に公約いたしました。 その決断は、世界各国から賞賛されました。No.1の記事でも少しふれましたが、我が国ではまだあまり騒がれてはいませんが、2020年問題は、ヨーロッパでは、すでに2000年頃からジャーマニー2020、EU2020というように10年以上も前から取り組みが始まっています。環境への取り組みとしては、太陽光発電等のクリーンエネルギーの開発を大幅に増やし、基準年の20%以上という二酸化炭素削減を実現しています。それは、約20年前にヨーロッパでは、山間部に酸性雨が降り注ぎ、木々は枯れ、湖の魚を絶滅させるという苦い経験があるからです。そしてまた、アフリカからの難民の流入など、ローマ賢人会議が予告した2020年問題というシナリオが確実に始まっているからです。
そもそも、2020年問題とは、1970年に世界の英知を集めてローマで開催されたローマクラブ(ローマ賢人会議)の提言を元にしています。 この会議では、このまま人口が増え続けた場合、食料と水の枯渇で人類は100年後に滅亡の危機を迎えるという提言から始まっています。 その分岐点となる年が、ローマ賢人会議から50年後の2020年頃だろうという予測でした。人口は、予測通りに増え続け、アフリカでは今年もまたケニアで大干ばつが起こり、ソマリアに続き、ケニアもまた無政府状態になろうとしています。ソマリアの海賊問題が世界的な問題となっていますが、これもまた食糧問題で、食えないからこそ海賊行為を行わざるを得ないからで、ソマリア政府は統治権をすでに失ってしまっているのです。 この人口問題に、拍車を掛けるように環境問題が、さらなる悲劇を助長しているのです。現在、紛争地域といわれるアフガニスタンやイラクもまた、その根本には食糧問題と水問題が復興の足を引っ張っているのです。
2020年問題と住宅との関連は、今までのように化石燃料を使い続けることは、本当に人類を滅亡させてしまうということが現実化してきたからです。二酸化炭素による地球温暖化は、世界の気候を激変させています。身近に考えてみても、今まで鹿児島を通り道としてきた台風が、フィリピンや台湾、中国大陸にそれたり、逆に名古屋から関東に至る本州をかすめるコースをたどるなど、年々、その異常性を増しています。スコールのような激しい降雨、今年の9月の鹿児島では30℃以下になる日は一日もないなど、確実に気候の変化を感じるようになりました。何年に一度の竜巻も頻繁に発生しています。 本年から長期優良住宅が始まり、我が国でも200年住宅のプロトタイプが求められるようになりました。そして最近では、民主党の持論であるガソリン税を廃止する代わりに、燃料税や環境税の創出も検討されるようになってきました。 このような新税創設の底流にあるものこそ、2020年問題なのです。
ところが、もう一つ困ったことに、気候・環境学者と地球物理学者の間には、温暖化に対する大きな見解の相違が生まれていることです。 地球物理学者は、温暖化とは全く反対に、太陽活動が衰退期を迎えており、地球は小氷河期に突入する可能性があるという結論です。これは、2007年のロシアやヨーロッパの大寒波、それに本年の10月には、ブルガリアで季節はずれの80センチという大雪を記録し家畜に大きな被害を与えていることなど、徐々に寒冷化の兆候が出始めているというのです。
右図は、ブロッカーのコンベヤーベルトと言われるもので、2000年に一周の割合で海洋深層水が地球を回っていますが、その循環が近年の地球温暖化で弱まるのではないかといかとわれています。循環が弱まると、気候に大きな影響を与えることになります。海洋には大きな循環が二種類あります。風の力によって起こる風成循環(ふうせいじゅんかん)と、北極や南極付近の寒い地方の海面で海水が冷やされ、赤道地方で暖められることによって起こる熱塩循環(ねつえんじゅんかん)です。
風成循環は、黒潮や親潮などの海の表面を流れる海流です。海底深く流れる熱塩循環は、地球の気候に大きく影響します。海面の海水の塩分が濃い北部北大西洋と南極周辺では、海面の海水は冷やされて海底に沈み込んでいきます(オーバーターン)。沈み込んだ深層水は世界をめぐり、熱帯や亜熱帯の海で海面へ湧き上がり、暖められながらベルト状に、オーバーターンの発生する場所にもどり、また深層へと沈んでいきます。大西洋オーバーターンで海水が沈み込むので、補給のため南からあたたかい海水が流れこんでいます。大西洋沿岸のヨーロッパの冬が比較的あたたかいのは、この海水の流れがあるからです。大西洋オーバーターンがなくなると、暖かい海水の流れもなくなるので、大西洋沿岸のヨーロッパは寒くなることが考えられます。
実際に1万2千年前に、こうした現象が起こったという説があります。「ヤンガー・ドライアス事件」とよばれるもので、終わりかけた氷河期が元にもどってしまいました。この原因は、温暖化で北アメリカ大陸の氷がとけ、真水が北部大西洋にながれこんだため、塩分が足りずに大西洋オーバーターンがストップしたためだ、とする説があります。このようにオーバーターンは気候に大きな影響をあたえます。
温暖化の議論が主流ですが、逆に寒冷化を唱える地球物理学者の論拠を紹介してみましょう。ロシア科学アカデミー海洋学研究所職員、オレグ・ソロフチン博士は、地球の温暖化は早晩、地球の寒冷化の論議に替わるだろうと予測しています。
『地球環境に関する私のアドバイスは寒冷化に向かうという極めて明確なものだ。ロシア人は、このように警告します。「寒さに備えて防寒靴を貯めて置きなさい!」だ。現在、我々は、温室効果ガス放出の気候への人的影響についは、論議する必要もないことと思っている。気温の上昇は、はっきりと現れた単なる自然現象であり、温室効果や温室ガスの影響に依るものではない。気候変動の本当の理由は、太陽光線の放射の不均一、地球の自転軸の変動、海洋の潮流が一定でないこと、定期的に現れる北氷洋の表面水の淡水化(脱塩化)と塩水化などに依るものである。しかし、それらのうちで重要なのは、太陽の熱放射の活発化と光度(輝度)である。この指数が高くなればなるほど、当然、気温は上がる。17世紀にすでに始まっている一時的な温暖化の一つの最高点に達しているだけであり、太陽活動が衰退してきている現在では、寒冷化に向かうというのが我々の結論である。』
天文物理学者のプルコフ天文気象所宇宙研究所のハビブルルイ・アブサマトフ所長は、次のような見解を述べています。 『太陽の熱放射の活発化が2つのサイクルで起こることを発見した。11年サイクルと2世紀のサイクルで起き、どちらのサイクルになるかは太陽の発光表面の半径と面積の変化によって違ってくる。最近のデータでは、すでに2012年までに、肌で感じるほどの寒冷化がやってくると信じている。寒冷気候は少なくとも50~60年は続くだろう。地球温暖化については二酸化炭素は何ら関与していない。なぜなら太陽の放射エネルギーは全人類が作り出す全エネルギーに比べ、数千倍も多いのである。全体的に人類が自然に及ぼす影響は人間が蚊に刺されるよりも遙かに少ない。』
このように学者の間でも、地球の温暖化と寒冷化の議論は、まだ決着を見るまでに至っていません。しかし、2020年問題という人口と環境、食料問題は待ったなしにやってきます。
2012年という近未来に寒冷化が始まるという学者もいるように、私達には選択する時間があまり残されてはいません。これから、この地球に住まい続ける私達の子供や孫達が直面しようとしている様々な困難に対して我々ができることは、夏も冬も、消費エネルギーが少なくて住める高性能な温熱環境の住宅です。できるならば、自活エネルギーの住環境こそが、子供や孫達の未来の幸福を約束する家になります。建て主が高齢化した場合でも、200年の寿命を持ち、エネルギー消費が少なく自活エネルギーで暮らせる住宅であれば、温暖化にも寒冷化にもどちらの状況にも十分に対応が可能です。
住宅性能を最も重視する理由は、建て主が長期に渡って幸せに住まい続けることができる住宅を供給したいと考えるからです。