防蟻・防腐対策は、住宅の高耐久性能のための基本です。
長い歴史に耐えうる高耐久・防蟻・防腐対策
防蟻と防腐は同じような性能で防腐が進行すると白蟻の被害も受けやすくなります。
防蟻防腐対策には、含浸防腐材や防蟻フォームで二重三重の対策をとっています。
日本には16種類のシロアリが棲息しています。このうち被害が問題となっているのは、ヤマトシロアリとイエシロアリです。建物がシロアリの食害により甚大な被害を受けるのは、シロアリがセルローズ等の木材の構成成分そのものを分解利用するからです。これが他の木材食害性昆虫と大きく異なる点です。シロアリは微生物との間に共存関係を築くことによって、木材の分解を効率よく行います。またシロアリは木を食するだけでなく、その強い大あごにより、柔らかい物は何でもかみちぎり、プラスチック・発泡ウレタン等は巣づくりに利用し、コンクリートの上にも土で巧妙に蟻道を造ります。
シロアリは亜熱帯を中心に分布する昆虫です。ヤマトシロアリは、6℃内外で活動を始め12℃〜30℃が活動好適温度です。現在では北海道の旭川周辺まで生育範囲を広げています。ヤマトシロアリ自体は33℃程度の高温まで耐えられるようですが、シロアリの体内で消化を助ける共生原虫が死んでしまうので、夏の高温期には地中や涼しい場所へ移動します。イエシロアリは、特殊な巣を加工し、野外での分布の北限は1月の平均気温4℃、最低気温0℃で死滅するといわれ、活動の好適温度は30℃〜35℃とヤマトシロアリよりも高く、餌の最大摂取温度は34℃付近で、イエシロアリも温暖化の影響から年々生育区域を北上させています。
最近、新興住宅地でアメリカカンザイシロアリが大量発生し、問題となっていますが、神戸や横浜、仙台港では、輸入木材と共にアメリカカンザイシロアリが大量発生しています。ほとんどの白蟻が湿気がなければ活動できないのに、アメリカカンザイシロアリは気乾(乾燥)状態の木材でも、生存できるため家具や木材の中に潜みながら喰害します。ハアリとして空中から住宅に侵入するので、今までのシロアリ防除では対応できません。アメリカカンザイシロアリが発見された場合は、地域ぐるみの大がかりな駆除が必要になります。
玄関の防蟻処理
室内の防蟻処理
ハイプレン防蟻フォームは、九州住環境研究会とメーカーの共同開発品です。最もシロアリに弱い断熱材や木材、管材の接合部や周辺をウレタンでシーリングしながら、防蟻対策にもなるという優れた気密素材です。発泡ウレタンの中に薬剤が包み込まれているのでVOCの心配はありません。
浴室下地の防蟻処理
専用防蟻フォーム
ハイプレン防蟻フォームは、九州住環境研究会とメーカーの共同開発品で、現在では日本全国で採用されています。我が国のシロアリ対策に大きな貢献を果たした、防蟻と共に断熱・シーリング材としても優れたウレタンフォームです。
EPS防蟻断熱材等に使用されている「チアメトキサム」は、劇物や毒物指定の薬剤ではなく普通物に分類されている人間や動物には無害の薬剤です。シロアリの皮膚や口から体内に取り入れられることで、効果を発揮します。室内側で使用する防蟻フォームや防蟻コーキング類も「チアメトキサム」や「ホウ酸類」を使用していますから基礎内部の安全性は、確保されています。防蟻剤として使用されるホウ酸は人畜無害です。ダイヤモンドに次ぐ堅い鉱物で、人間や動物が体内に取り込んでも尿と共に排出されますが、ゴキブリやシロアリは動物の腎臓に当たる機能がないので、体内に蓄積されて死んでしまいます。
含浸木材の製造装置
含浸防腐・防蟻土台
含浸防腐・防蟻土台とは、指定木材工場の薬液含浸のための特殊な釜に土台材を入れ、乾燥と同時に防腐・防蟻薬剤を土台材の繊維の中に注入加工させた木材で、一般的に行われる防蟻材の塗布とは異なり、木材の中に薬液が閉じ込められているのでVOC(揮発性有機化合物)の心配がありません。