九州住環境研究会

No.59 住宅性能が鍵、試される人類の英知!
気候変動に関する政府間パネル第40回総会(IPCC)第5次評価報告書を採択。
今世紀末まで【排出量0】が不可能なら地球環境は破滅と警鐘を鳴らす。

2014年11月19日更新


IPCCの第5次評価総合報告書が採択。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第40回総会が平成26年10月デンマークのコペンハーゲンで開催され、IPCC第5次評価統合報告書が採択されました。
IPCCの第5次評価報告書は、三つの作業部会報告書と今回の統合報告書から構成されており、昨年9月に公表された第1作業部会報告書(自然科学的根拠)、 本年3月に公表された第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)、4月に公表された第3作業部会報告書(気候変動の緩和)が分野横断的に取りまとめられた統合報告書では、 人為的な温室効果ガスの排出による気候変動の現状及び今後の見通しについての最新の知見が取りまとめられ、 一連のIPCC第5次評価報告書は今後「気候変動に関する国際連合枠組条約」をはじめとする、地球温暖化対策に科学的根拠を与える重要な資料となります。
報告書の概要については、各新聞紙上で報道されましたから内容をご存じの方もおられることと思いますが、報告書では前回大会で合意された「産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑える」事は可能。 「気候変動に対する手段の選択は複数ある」と言い切っています。確かに地球温暖化は、先進国や途上国なりの各国のエゴを認めてきたために取り返しのつかないところまで来ています。
人類に残された二酸化炭素の排出量の上限は、あと1兆トンといわれています。IPCCの報告書についてはまたの機会に詳しくお伝えすることにして、まだ対策があるという根拠について考えてみたいと思います。

オゾンホールの縮小が確認され回復基調に!

南極大陸を中心に始まっていたオゾンホールが北極にも発見され、心配されてきましたが、この度、南極のオゾンホールが縮小し回復していることが発表されています。
国際的な生産・消費規制の効果により大気中のオゾン層破壊物質の濃度は、緩やかに減少し成層圏のオゾン層も徐々に回復して行くと考えられています。

オゾン層は電磁波の影響を防ぐ働きがある。

左の太線はフロン等の規制を行わなかった場合、点線は全ての排出を止めた場合、その他灰色線はモントリオール議定書と改正・調整による規制を行った場合のオゾン層破壊物質の濃度予測値。1980年の値を1とした相対的な量で示している。(出典:「オゾン層破壊の科学アセスメント2010」)。

人間が排出したフロン等は成層圏で分解され、オゾン層を破壊します。オゾン層が無くなると紫外線などの有害な電磁波を防ぐことができず、皮膚ガンなどが増えることが知られています。
オゾン層を保護するため、1985年に「ウィーン条約」、1987年に「モントリオール議定書」が採択され、国内では1988年に「オゾン層保護法」が施行され、 フロン等のオゾン層破壊物質の生産や消費が規制され、これらの規制の結果、成層圏のオゾン層破壊物質の総量は、1990年代後半をピークに減少傾向を示しています。
国内では、エアコン、冷蔵庫等で既に使用されているフロン類についても積極的に回収・破壊する取り組みが行われ、フロン等の規制は強化され、 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)がとりまとめた「オゾン層破壊の科学アセスメント2010」では、今後オゾン層破壊物質は徐々に減少し、 世界全体のオゾン層は、オゾン層破壊が明瞭になる1980年以前のレベルにまで回復するとしています。 

人類の英知を結集すれば温暖化も克服できる!

オゾン層の回復には温暖化が寄与しているという報告もありますが、フロンという原因物質を特定し、人類共通の目標を定めて努力した結果がオゾン層の回復を促進した事は事実です。
IPCCが『温暖化を阻止する手立てはまだある。』と言い切れるのは、オゾン層を回復 できたという自信があるからです。 人知を結集すれば温暖化は絶対に防げると確信するためには、我々もまた省エネルギー住宅を実現する事です。松下孝建設が皆様のお手伝いを致します。