九州住環境研究会

No.54 大切な住宅が放置空家になる?
立地条件が良い市街地及び市街地周辺が59%、立地の良い場所だから目立つ、放置空き家の実態
全国の空き家は756万戸、その内1割が放置空き家になっています。

2014年06月12日更新


放置空き家が増えるのは住宅性能が悪いから。

国土交通省は全国の空き家の実態調査を行い、現在756万戸の空き家の調査結果を公開しています。
そこからは、我が国の住宅の現状が透けて見えます。
どの様なことから大切な住宅が放置空き家になっていくのかこの調査から類推出来ることは少なくないようです。
この調査から判るのは、親から相続した44%の住宅が空き家になっており、空き家期間は10年以上が19%、5年以上、10年未満が16%となっています。
空き家所有者の2187人の内、280人の13%が放置しており、その理由は[自分で管理できない]・[しばらく住む予定が無いので管理の必要がない]という理由で共に40%、[手間や費用が掛かる]が29%、[管理しても貸すことも売ることも出来ない】が16%となっています。
この調査からは、せっかく親が残してくれた住宅が、全く役に立たないばかりか、相続する子供達には、非常にやっかいなお荷物になってしまっているという実態が浮かび上がってきます。なぜ、自分たちが巣立った親の家がお荷物になってしまうのか、その理由を類推すると。

住宅性能が低い住宅は財産になり得ない?

住宅を新築して、子供達を育てても高校を卒業すると子供達は、就職や専門学校、大学入学のために都会に巣立っていきます。もしも暮らしていた住宅が、いつまでも快適な印象を与えることが出来れば、子供達はこの家に帰ってこようと思うはずです。なぜなら、放置空き家となる住宅は、ほとんど相続しても価値が無い住宅だからです。
逆に断熱性能に優れ100年の高耐久性能住宅であれば、話は全く変わってしまいます。 住宅に価値があると言うことは、子供達が遠隔地で定年退職しても、親の家に帰れば新たに住宅を建てる必要が有りません。
放置空き家になる住宅とは、全く逆で立場が異なります。定年退職しても親元に帰るには、退職金で親と共に住む住宅を新築する必要が有ります。
これでは、長寿命化が進む現代では、共倒れになってしまいます。退職金で新築したら、自分たちの老後資金が無くなってしまうからです。
子供達は、家を放置する様に親も放置せざるを得なかった、というのが現状です。
子供達が故郷に帰れる条件は少なくとも親の住宅が健在であることが大きな条件になります。

駄目だと諦めないで住宅を改築してください。

現在の住まいでは駄目だと感じたら、子供達に相談して見るべきだと思います。
誰も親と住みたいとは思わないだろうと考えるよりも、まだ元気な内に住宅を建て替えたいと子供に相談したらいかがでしょうか?
公的な住宅金融支援機構には、「リレーローン」など様々な融資方法が有ります。若い内は両親が支払いし、それを引き継いで子供が支払うローンや現在お住まいの宅地があれば、それを元手にして、金利だけを支払って暮らすことも出来ます。
両親が亡くなってから子供達がその家を相続する場合は、元金を引き継いで支払い、相続しない場合はその家を引き渡すという方法もあります。
従って選択権は子供にありますから、全く迷惑を掛けることはありません。
この様にモーゲージバンク(住宅の証券化金融)を利用すれば、放置空き家を相続させる事もなくなります。住宅を建てる方法はその他にも沢山あります。 ご自分の宅地に改築するならば是非、ご相談してください。