2013年12月27日更新
大震災以来、我が国の太陽光発電の発電量は、原発2基分に相当するまでに増えています。そしてまたこの度、家電メーカーから家庭用リチウムイオン蓄電池が従来の半額の低価格で販売され話題になっています。
パナソニックが開発した蓄電能力が5kW/hの小型リチウムイオン蓄電池でこれによって、日中の太陽光発電は全て売電に回し、割安な深夜電力を蓄電して日中に使い電気料金の節約を目指すこともできる様になりました。
リチウムイオン電池は小型でも高い蓄電能力を持っておりますが価格的に高額で家庭用の5kW程度の蓄電池は通常200万円程度の価格で販売されて来ましたが、その半分以下の90万円という低価格で販売され、ようやく実用段階に入りました。
主要部材の高性能化に成功したことでシステムに内蔵する蓄電池数を減らしても同程度の蓄電が可能になったことが低価格化につながったようです。
これまではリチウムイオン電池といえば、パソコンや携帯電話などの情報関連機器や電気自動車などの車載搭載型に限られていましたが、低価格の家庭用リチウムイオン電池が開発されたことで量産化が図られ、さらに低価格化すれば一挙に再生可能エネルギーによる電力供給が具体化して来ます。
現在はまだ太陽光発電の電気をため込んだりコントロールすることはできないようですが、将来は、HEMSと連動させてもしも原子力発電が廃止となり、割安な深夜電力が無くなった場合も、太陽光発電で発電した電力を家庭用の蓄電池にため込んで夜間の電力として使うことも可能になります。この頃、話題になっている水素自動車の場合は、燃料電池と同様の仕組みで、家庭用電源としては5日間ぐらいの発電が可能なようで、家庭用の燃料電池(エネファーム)もまた、当初350万円位が最近では200万円を切る製品も販売されていますから、小泉元首相が原発ゼロを標榜して「首相は決断せよ」と迫るのもあながち夢まぼろしではないような状況になってきています。
また、再生可能エネルギーの新しい供給サービスも始まっています。その一つがオリックス・NEC・エプコが始めた新サービスでOENエネルギー株式会社という新会社を立ち上げ、蓄電池のレンタルサービスを開始しました。ベースプランは月額4900円でNECの家庭用蓄電池(5.53kW)を貸し出すサービスですが10年間は解約ができないシステムになっています。
シミュレーションでは10年間で約62万円の借入総額に対し、利用効果は120万円~140万円と倍以上の効果が見込まれています。蓄電の能力については、性能補償で担保されているようです。さらに、屋根を貸す【太陽光屋根借りプラン】というものもあります。
これは、屋根を貸して太陽光発電パネルの設置を認めることで屋根貸し賃料を受け取り蓄電池の借り入れ費用を0円にするもので契約期間は20年間、この場合も途中解約はできないシステムになっています。契約終了後は、屋根貸し契約者に搭載したパネル一式が無償譲渡されます。停電時には、蓄電池と合わせて非常用電源として利用可能ということです。
この様な流れは将来の電力自由化を見越した事業で将来は、現在の電力会社の電力をあてにするのではなく、太陽光発電などの再生可能エネルギーを寄せ集めて公益的な電力網を形成するという大きな目標があるようです。スマートハウスをネットワーク化し、公益電力網を形成するという考え方は、今までの系統電力で石油や石炭、天然ガス、原子力発電で電力を供給するという発想からは生まれ得ないものではないかと考えられます。
小泉元首相の考え方が受け入れられるのは、現実にこの様な事業が動き出していることからも実現可能なプランだからです。将来は、地域コミュニティが中心になって、例えばコンビニに基幹となる燃料電池を設置し、周辺住宅の太陽光発電を搭載したスマートハウスを連携すれば、家庭で使う電力は再生可能電力100%で自給自足が可能になります。それが現実のものとして我々の目の前に出現しています。家庭用リチウムイオン蓄電池の低価格化の実現は、そのシナリオを大きく前進させるインパクトがあります。
COP19の会場でフィリピンの代表が涙ながらに訴えていた映像は、忘れることができない光景でした。我が国は、京都議定書の6%は達成できたものの、2020年の目標値は世界中から非難される内容でした。環境先進国を誇っていた我が国は、原発の停止で全く方向性を見いだすこともできない状況です。太陽光発電や蓄電池、燃料電池など世界に誇れる技術を今こそ生かして環境問題に取り組んでほしいものです。松下孝建設もさらに高度な高性能住環境を造ることで環境問題に参加してまいります。