2013年10月23日更新
現在は、昔のように火災だけを心配していればよいという時代ではなくなりました。火災などの人災が主な災害であった時代から、突然降りかかってくる自然災害に対する備えが重要になってきています。
特にゲリラ豪雨等による自然災害は、市街地の側溝などを溢れさせ、川の近くでなくても水害を発生させてしまいます。
また、今までは運動場などでくるくる渦を巻いていたつむじ風が大きな竜巻になって市街地を縦断するなど、今までは全く考えも及ばなかった災害を引き起こしています。
このような万が一の災害に経済的な損失を補償してくれるのが火災保険です。
住宅を新築する時に融資を受ける場合は、しかるべき火災保険への加入が金融機関によって義務づけられますが、その場合も火災保険の補償内容の重要性をしっかりと認識しておく必要があります。
最も身近な例として火災に遭遇した場合も隣家が火元になって自宅が延焼した場合、故意や重大な過失が認められない場合は、隣家に損害賠償を請求することは出来ません。
また、隣家の消火活動で自宅が破壊されたり水濡れの被害が生じても原則的には賠償してもらうことも出来ません。
つまり、基本的には自分の住まいは自分の火災保険を使って守らなければならないのです。
規模な自然災害が発生した場合、激甚災害などの指定で国が被災者生活再建支援法等で支援金を給付してくれる場合もありますが、支援額は最高300万円(自宅が全壊し新築する場合)と住まいを建て直すには不十分な額しか支給されません。
あらゆる災害に備えて自分の家を守るためには、適切な補償金額を伴った火災保険を選択して災害に備えるしかありません。
1998年の保険料自由化以来、損害保険会社は独自のサービスが出来る様になり、様々な商品を開発していますから、掛け金だけではなく補償内容等の説明をよく聞いて、自分に最も合った商品を選択する必要があります。
保険料金の自由化は今から15年も前のことになりますから、既築住宅の場合は古い契約のままになっている場合もあります。
現在の保険は原則として現在建っている住宅を建て直すことが出来る同等の金額「再調達価格」で設定されています。たとえば、災害を受けて家を再建築する場合、2000万円必要だとした場合、保険金で再建築に必要な2000万円を受け取ることが出来る保険です。
自由化以前には「時価」契約が中心でこの契約は、住宅の経年劣化分を差し引いて保険金を算出するもので、300万円の経年劣化が認められた場合、保険金は1700万円しか受け取ることは出来ません。これでは充分な補償にはなりませんからこのような保険に加入している場合は、「再調達価格保険」に入り直した方が良いわけです。
「再調達価格」で契約していてもそれで完璧という訳にはいきません。なぜならば建築コストの変動で再建に必要な金額と保険金に差が生じるためです。
保険会社や代理店に現時点での「再調達価格」の査定を依頼し、定期的に保険金額を見直しておく必要があります。
この場合の保険料の増額はそんなに高額ではないはずですから、定期的に見直して増額しておかれることをお勧めします。
多くの火災保険は複数の自然災害を補償する「パッケージ型」が一般的ですが、災害の補償は商品によって異なります。
重要なのは万が一の際に被害が大きくなる風水害の補償で水災補償は台風や暴風雨、ゲリラ豪雨、融雪による洪水、高潮などが対象になり、竜巻や突風の場合の補償は風災補償でカバーされます。
注意しなければならないのは、これらの補償が任意で付加するタイプもありますから、当初の契約内容はしっかりと認識しておいてください。
自由化以前の契約商品は、水災による家屋倒壊や流失の支払い上限が7割にとどまります。また建物と家財の補償が別契約になっていることも認識しておく必要があります。
地震の被害は、火災保険では補償の対象外ですから、火災保険と同時に地震保険の加入をお勧めします。
地震保険の補償金は火災保険の半額までという条件があり万全ではありませんが、政府が管掌している保険ですから大災害でも安心感があります。
多くの自治体では洪水や地震、土砂災害の被害を予測したハザードマップ(警戒地図)を作成しています。また、HPでも「国土交通省ハザードマップポータルサイト」などで検索できますから、ご自分の地域の防災状況の確認をお勧めします。