2012年3月24日更新
※COP:気候変動枠組条約締約国会議
地球環境や省エネルギーに関心を持って高性能住宅を求めている皆様にとっては、工法や設備機器の進化はとても重要な問題だと思います。
特に福島の原発事故以来、原子力に頼らない発電を行うためには、天然ガスや石油などの燃料の高騰に伴う、電力の価格上昇を考慮する必要があります。オール電化が推進されてきた現在、多くの住宅は電力に頼らざるを得ない状況におかれています。
これから建てる住宅の性能によっては、生活経費に占める冷暖房経費が、大部分を占めることになり、老後の生活の質に直接関係してくることだからです。
さらに、今後は地球環境に関連する環境税やエネルギー税をはじめ、使用するエネルギーの量や住宅のリフォーム経費など、住宅性能が関係する様々な経費負担が発生することも予測されているのです。
我が国が推進してきた環境対策は、1997年の京都における気候変動枠組条約 第3回 締約国会議「COP3」以降、大きく変わりました。この京都議定書において2012年までに、基準年(1990年)の温暖化排出ガスである二酸化炭素の6%の削減を約束し、2003年に国会で批准しましたが、2012年を迎えた現在、その国際公約もいつの間にか世界情勢の中でうやむや状態になっています。
現在は2011年12月「COP17」が、南アフリカ・ダーバンで開催され、京都議定書の約束期間が2012年末に終了後の処理が課題となっていましたが、結論は京都議定書を延長(第2約束期間の設定)するとともに、2020年には、米国や中国・インドなど温暖化ガスの大量排出国すべてが参加する新しい枠組みをつくることで合意しました。
今まで交渉のテーブルに着こうともしなかった米国や中国、インドなども参加が約束され、期待された成果は、ほぼ達成されましたが、同時に発表された京都議定書の延長に関わる文書では、第2約束期間を17年末までとし、18年から、新枠組みがスタートすることになり、京都議定書の延長と共に、参加国全体の目標値として2020年に1990年比で「少なくとも25~40%の二酸化炭素を削減する」という数値目標も明記されました。
2012年12月「COP18」が中東カタールのドーハで開催されますが、この会議によってより詳しい内容が示されるものと考えられます。
産業用排出ガス抑制の技術水準では、世界トップクラスという我が国の産業界での削減はすでに限界状態で、年々増え続ける住宅などの民生用のエネルギー削減、排出ガス削減が急務となっています。これからお建てになる住宅が、二酸化炭素の排出を極力抑制できる省エネルギー性能の高い住宅であれば、住宅行政がどの様に変化しても長期的にその住宅の価値を損ねることはありません。
「COP18」などといっても大方の皆様は全く関係がないように考えているかも知れませんが、「COP17」は、すぐに住宅行政に反映されています。それが昨年の「ゼロ・エネルギー住宅」を2020年までに国の目標基準に据えるというものです。
参加国全体の数値目標として定められた2020年までに、1990年比で少なくとも「25~40%の二酸化炭素を削減」するという数値目標を達成するために絶対に必要な目標です。
深刻化を増している地球環境を保全するために、ヨーロッパではすでに環境税も始まっており、我が国でも実施が目前に迫っています。総理府の調査(2007年)でも、何らかの環境対策が必要と答えている人が50%を超し、環境税の新設に対しても50%近くの人々が賛成を表明し、個人的な段階でも多少の出費は覚悟しています。この様な状況からも老後に必要な住宅経費を考えた場合、これから建てる住宅は環境負荷の少ない省エネルギー住宅であることが大きな条件になります。
COP(気候変動枠組条約)の情報もこの頃では、小さな記事でしか取り上げられなくなりましたが、先に述べたように我が国の住宅行政にも確実に反映されているのです。我が国が、現在の水準で二酸化炭素の排出を続けていった場合、ヨーロッパ主導の排出ガス取引に否応なく取り込まれてしまいます。
現在の排出量水準でも、排出量の少ないロシアなどから3兆円規模で排出権を買い取らなければならないという試算もあります。このままの排出量水準が続けば、我が国にも消費税以上に厳しい、環境性や二酸化炭素排出税も必要になってくることでしょう。
国の住宅性能基準は、勝手に決められているのではなく世界的な枠組みの中から生まれてくるものです。これから住宅を建築するということは、住宅行政を見据えて、少なくとも松下孝建設のような国が示している最高等級の住宅性能を提供できる施工店を選ぶべきでしょう。