九州住環境研究会

No.243 住宅ローンの繰り上げ返済の損得!
日銀の政策金利の引き上げで、住宅ローンの金利が上昇。これからは賢くローン返済を考える時代に。
住宅ローンは、返済優先よりも借り続けることに利点がある場合も、その一つはローン控除!

2025年3月28日更新

日銀の政策金利の引き上げにより変動型の利払いの上昇と返済方法!

24年以降、日銀の政策金利の引き上げが始まり、24年当初はマイナス圏の政策金利は、3度の政策変更を経て25年3月時点で0.5%に上昇、年内の追加利上げの観測も多いようです。

変動型の金利は、政策金利の動向に連動しやすく、多くの金融機関は半年ごとに金利を見直す仕組みで契約しているためにすでに借り入れている人は、適用金利が24年中に上昇し、25年は夏頃に再び上昇するケースが多いようです。

金利上昇中の対応策の一つは、「繰り上げ返済」ですが、毎月の返済額とは別に元金の一部を前倒しで返済します。返済は全て元金の支払いのみに充てられるため、その分、将来の支払い分の利息を減らすことが出来ます。
繰り上げ返済には積極的な兆候もあり、ネット関連銀行では25年1〜2月の繰り上げ返済が前年同期比で約1.6倍、一件あたりの金額が8万円程度、上昇しているようです。

繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。

「期間短縮型」は毎月返済額は変えずに残りの返済期間を短縮するため、一定期間に返済予定の元金をまとめて返済することです。
「返済額軽減型」とは、 残りの返済期間は変えないで毎月返済額を軽減し、返済期間と返済額をならす方法です。

総務省の調査によると住宅を初めて購入する人が多い30代の預貯金は、平均約825万円で、この半分の400万円を繰り上げ返済に充てると想定して4500万円を35年返済で借り、当初金利年0.4%の場合のシミュレーションでは、残りの返済期間が約30年、適用金利が1%上昇して年1.4%の時に短期短縮型で繰り上げ返済した場合、返済期間が4年短縮され金利がその後一定と仮定すると繰り上げしない場合と比較して、約190万円の利息が減ります。

「返済額軽減型」なら、残り30年の合計の利息減少額は約90万円になり、どちらの方法でも100万円規模の利息の軽減になります。特に期間短縮型の減少額は大きく、ローンの完済時期が年金暮らしとなる定年退職後の期間短縮型の完済前倒しは、収入低下時の安心につながります。

金利上昇時の負担軽減には返済軽減型が選択肢に。

毎月の返済額を考える場合には、返済額軽減型が有利になります。例えば、返済が残り30年の時に適用金利が年0.9%と0.5%上昇すると毎年返済額は12.3万円に増えます。
この時点で400万円繰り上げ返済すると毎月返済は11.1万円になり、当初の11.5万円に比較しても約0.4万円、毎月の支出を減らせます。
但し、金利の上昇幅で繰り上げ返済しても毎月返済額は金利上昇前の水準には戻りません。返済期間残り30年、適用金利が1.15%を越えると、毎月返済額は当初の金額より増えます。

例えば適用金利が1.4%の場合、繰り上げ返済後の毎月の返済額は、金利上昇前に比べて0.4万円の増加になります。残りの返済期間が長い場合に金利の上昇幅が大きくなると繰り上げ返済しても毎月の返済額は増えやすく、このような場合は、繰り上げ返済をすると毎月の返済額がかえって増えてしまうので注意が必要です。

住宅ローンは、借り続ける利点もあり、住宅ローン控除は最大13年間、年末のローン残高の一定割合を所得税などから引けます。対象期間中に繰り上げ返済でローン残高を減らすと控除額も減るので家計の負担増につながります。このように解釈の仕方で状況がかわりますから、ご不明な点は、何でも九州住環境研究会にご相談ください。