2025年1月15日更新
本年度から「省エネ基準」義務化が始まります。しかし、義務化基準は「等級4」で、昨年までの最高等級が義務化基準になりました。このように住宅性能は、時代の進歩で次々に高性能化していきます。
省エネ基準「等級4」も5年後には「等級5」が、義務化基準になります。国が求めている最終基準は「等級6」以上であることが、この度の「子育てグリーン住宅支援事業・GX志向型」で明らかになりました。
今までの子育て世帯支援から、6等級以上の全世帯対象となる「GX志向型住宅」に対し、160万円という高額の補助金が支給されることになりました。
GXとは、グリーン・トランスフォーメーション(改革を表す英文)「化石燃料からクリーンエネルギー中心へ転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みのことです。
国連加盟の193ヶ国の全てが賛成し、採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の17項目の中でも最も重要な気候変動対策の要ともなる脱炭素中立型社会・CN(カーボンニュートラル)炭素を排出しない世界を実現するためパリ協定(COP21)では、約一世紀前の「産業革命」以来1.5℃の上昇で、壊滅的な気候変動が起こると予測し、世界規模の災害が平均気温の1.5℃上昇のリスクを垣間見せていますが、昨年の平均上昇率は1.6℃で、これを常態化させないために、各国の取り組みの加速化が緊急に求められています。
最も排出量の大きい産業用排気と共に、家庭から排出する二酸化炭素の削減を目評に世界中が「再生可能エネルギー」への転換を図っています。政府もさまざまな補助制度や税制優遇などを用意していますが、今回の「GX志向型住宅」の補助事業もこのような背景があります。
松下孝建設が「補助金」制度に参加しなかったのは、国の方針を否定したり、逆らってきたからではありません。「補助金」制度には予算があり、実行できる方と出来ない方に不公平感が生まれるからです。
また、高性能住宅をリードしてきた九州住環境研究会の住宅では、高性能化を目指す「補助金制度」では、一台で全館冷暖房が可能な住宅でも、各居室に一台づつ高性能エアコンが必要な場合など、求められる要件を満たすために、無駄な設備が必要になるなど「補助金」を取得する以上に、建て主様に負担を強いる場合が多かったためです。
今回「GX志向型住宅」に参加するのは、九州住環境研究会の平準仕様が「省エネ基準等級6以上」に設定していることと、基準の元になった「HEAT20」の最初期の賛助会員として、G2仕様であれば、もしも「補助金」支給に定員オーバーで漏れたとしても、建て主様に迷惑が掛からないという想定があるからです。
さらに対象が「全ての世帯」ということと、一般的にはかなり厳しい「等級6以上」の指定は2050年のCN(カーボンニュートラル)に向けて政府が、本気で舵を切ったというシグナルであると受け取ることができます。
国土交通省と環境省が2024年実施している「子育てグリーン住宅支援事業」も、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、省エネ性能の高い住宅を増やすための施策ですが、子育て世帯の支援を残しつつ、今回の補助事業では、本年の「省エネ基準の義務化」を踏まえ、一戸あたり160万円の補助が得られる住宅を「GX志向型住宅」と定義しています。
「GX志向型住宅」とは、高断熱性能を有し、高効率省エネ機器、太陽光発電システムなどを搭載して、住宅で使うエネルギーを100%、賄うことができる住宅としました。
断熱性能の要件は、省エネ性能「等級6以上」、省エネ要件は、再エネを除いた一次エネルギー消費量の削減率が「35%以上」、創エネ要件は、再エネを含む一次エネルギー消費量の削減率が「100%以上」補助対象世帯は全世帯としています。
再エネを含む一次エネ消費量削減率が100%以上というのは「自給自足型住宅」のことで住宅で使うエネルギーを太陽光発電システムや風力・水力などの自然由来の設備で賄う必要があります。
ただし、日照時間の短い寒冷地は「75%以上」でも対象としたり、都市部狭小地などの場合に限り再生可能エネルギー未導入でも構わないとするなど、実態に合わせて要件が緩和されています。
住宅の大きさについても要件があり、床面積が50㎡未満の著しく小さい住戸や、240㎡を超える住宅は対象外としました。また、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域に立地する住宅、市街化調整区域かつ土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する区域に立地する住宅は、原則対象外となっているので注意が必要です。
九州住環境研究会では、全ての建て主様のお役に立ちたいと願っておりますが「GX志向型住宅」の支援事業は全く新しい補助制度であるため、未だに未定な部分も多く、関連素材メーカーからの情報などを収集中です。
これから新築を計画されている皆様は、お早めに九州住環境研究会にご連絡・ご用命ください。常に建て主様の不利益にならない住宅造りを目指しております。