九州住環境研究会

No.237 来年4月から「省エネ基準」義務化!
今までの最高等級4は、義務化等級に変わり、
我が国の住宅もようやく世界水準に届こうとしている。
コロナ禍などで一時停止していた「省エネルギー」基準が刷新・義務化され、住宅は新時代に!

2024年12月25日更新

断熱・性能等級1が等級7に、従来の最高等級4が義務化等級!

 新省エネ基準は「等級4」が義務化基準ですが、この基準は2030年までで、その後は「等級5」のZEH(ゼッチ)基準が義務化になります。4月の「省エネ基準」の施行前に住宅を建てる場合もZEH基準の「等級5」以上、できれば「等級6」で建てることを奨めます。

等級4を選択した場合は、新築後5年で旧基準の住宅になるからです。不幸にも住宅を手放す場合、新基準5等級と旧基準4等級、ましてや等級6では、評価額にかなりの差が生じます。

等級5の「ゼッチ基準」は自活エネルギー源の設置も含まれるので、その分の経費が必要ですが現在はかなり安価になっています。建築費や設備費がプラスになるとはいえZEHですから電気料金が0円は、大きなメリットになります。いずれにしても2030年にはZEHが平準化されるで「太陽光発電」は、必需品です。早めの設置が後々ベターになりそうです。

施工技術と科学的な知識がないと高性能住宅は危険要素になる?

等級6・等級7という高性能基準が公開されると」我が社は最高等級7で施工します。」という施工店が出てきますが住宅の高性能化はかなり難しい技術です。それと共に断熱性能に合わせた、関連素材の選択が必要です。
例えば開口部(窓)などの性能を高性能基準に合わせて選択しなければなりません。高ければ良いという物ではないからです。高くて良いものもあれば、むしろ悪い物の方が多いからで無駄なお金が掛かります。

建設地の気候風土を綿密に調べ上げ、それに合わせて建てられる等級6や等級7の住宅であれば、申し分のない住環境になると思いますが、中には、名ばかりの等級6や等級7も存在します。

住宅の高性能化は、数値だけを合わせるのなら、簡単に施工可能です。外皮(壁面の)の断熱材を、等級6や等級7が要求する断熱性能で施工し、開口部等もそれに合わせます。
これで数値を合わせて選択すれば、名ばかりの最高等級は可能になります。このような住宅は後々「欠陥住宅」と呼ばれかねません。

住宅性能を「気象庁の気象用語」を参考に考えて見ると?

気象庁の気象用語では、最高気温が35℃以上の日を猛暑日、30℃以上の日を真夏日、25℃以上の日を夏日、0℃未満の日を真冬日といいます。最低気温が0℃未満の日を冬日といいます。
夏の熱帯夜とは、夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃以上になる夜のことをいいます。

この温度を記憶しておくと、住宅性能のかなりの部分が理解できます。ついでに「気象」には、通常の気象の他に建物内の気象である「室内気象(気候)」と「寝床内気象(しんしょうないきしょう)」などもあります。寝床内気象とは布団の中の気象のことです。

高性能住宅で間違えるのは、冬の室内温度?

冬の室内温度は最低18℃、理想的には20℃±です。室温25℃以上だと冬に「夏の不快な熱帯夜」を再現することになり危険です。室温25℃の「熱帯夜」は、冬でも大きな問題です。オーバーヒート(冬の熱帯夜)の多くの場合、窓から取得した日中の熱のコントロール不良でおこります。
日本の住宅先進地、北海道では、高断熱化の弊害として今でもオーバーヒート対策が欠かせません。

真冬に、Tシャツ・半ズボンで「ビールやアイスクリームがおいしい」という家は典型的なオーバーヒート住宅です。室温30℃の家から、薄着のままで5℃の外に出たら「ヒートショック」を引き起こす危険があります。

住宅の高性能化が始まると、このような冬、暑すぎる問題や寝苦しい問題が噴出してきます。それは、気象庁の用語で示したように、夏ではなく、真冬の住宅の中で最も寝苦しい過酷な夏を再現してしまう危険があるからです。

高性能住宅の実現には付け焼き刃の技術ではなく、本物の施工技術が必要です。「冬の室温18℃以上〜21℃、夏は25℃〜28℃」等級に関係なく、これが実現できる住宅が「高性能住宅」といえる住宅です。

等級に惑わされないで、本物の技術を追求する!

とにかく最高等級に惑わされないことです。数値だけなら素材をそろえれば実現します。目的が経済的で健康に寄与できる住宅と言うことであれば、施工店の施工力にご注目ください。
九州住環境研究会はハウス・オブ・ザ・イヤー大賞等、南九州の住宅性能の向上を考えてきました。是非一度、最寄りの展示場をご見学ください。お待ち致しております。