2024年11月29日更新
ペアローンは一つの物件に対して夫婦が同じ金融機関でそれぞれローンを組む方法です。多くの場合、妻と夫の双方が相手の債務の連帯保証人になります。
共働き世帯が増え、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りる「ペアローン」の利用が増えています。ローン契約は夫婦で二口になり、今までは、片方が死亡した場合は、片方の債務は払い続ける必要があり、心配の種になっていましたが、団信の充実で、片方が死亡した場合の選択肢が増え、ペアローン選択のハードルが低くなっています。
ペアローンの物件所有権は、資金負担割合と同じ持ち分割合で共有名義になります。ローンが二口のため、金利タイプなどの借り入れ条件は、それぞれ個別に設定することも可能です。
例えば総額5000万円借りるなら、1人が固定型で期間35年・3000万円、もう1人が変動型で20年・2000万円を借りるといった具合です。
都市部を中心にマンション価格が高騰するなか、夫婦でローンを組んで借入可能額を増やし、希望の物件を手に入れたいと考える人も多くなっています。ぺアローンで、より多くの金額を借りられるのは、大きなメリットになりますが、離婚時などには所有権やローン返済について協議が必要になるなどのリスクも高くなります。仕組みをよく理解し、家計の中長期的な計画を立てておくことも大切です。
三井住友信託銀行が設置する「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」が2023年1月の調査で、単独ローンとペアローンでの借入額を比較すると、20代は4割程度、30代は3割ほど、ペアローンの借入額が単独ローンより多くなっていたことがわかりました。
多くは利用者の「団信の充実が住宅購入の後押しになった」という感想もあり、ペアローン向け団信が充実している金融機関から借りたいという希望も多くなっています。
現在は、都市や地方を問わずマンション、戸建て共に高額化している現状に、ペアローンに対する団信の充実がヒットしているようです。
通常のペアローンでは、免除されるのは契約者本人の債務のみで、生き残る片方の債務は残ります。片方が1人で仕事と子育てを両立させることは非現実的で、こうした懸念を取り除ける「ペアローン団信」が登場しています。
代表的なPayPay銀行のペアローン団信は、片方の死亡時などの通常型に加え、夫婦のいずれかが、がん又は入院で1年以上働けない場合などに2人分の残債を免除する「がん型」の2種類あります。
保障費用は、借入金利に一定の上乗せがつき、通常型の上乗せ金利は年0.2%で、がん型は0.4%。がんになった場合、残債の半分を免除する50%型は0.3%になっています。
ペア団信導入後は2倍〜4倍に増え、金利0.4%を上乗せする「がん100%型」ペア団信が契約件数の7割を占め、金利負担より生活の安心感を求めている方が多いようです。
上乗せ金利が金利が低くても適用金利が高ければ、毎月の返済額は多くなります。最優遇適用金利にペア団信の上乗せ分を足した水準を各銀行で比較すると、変動型は通常型・がん型共にみずほ銀行が0.575%で最も安く、当初10年の固定型ならPayPay銀行が最低水準。
りそな銀行のように、通常型が1.315%、がん100%型が1.515%、長期固定型が優位の場合もあり、実際の適用金利は借り入れ条件や個人の信用力でも変化しますから、複数の金融機関で借り入れ審査を受けることがお奨めです。
一般の保険商品との比較も大切で(表・3)夫婦2人で5000万円を35年、年0.4%の変動型(元利均等返済)で借りる例では、通常、毎月返済は合計約12.8万円。2.2%の団信上乗せで毎月4000円、0.4%で約9000円増えます。
死亡や高度障害時に保険金などを受け取れる生命保険の方が保険料が安かったり、保障が充実したりする場合は、一般の保険商品の方が有利になる場合もあり、ペア団信で万一が起きた場合は、課税対策も考えなければなりません。死亡者の残積免除分は非課税でも、受取人の免除分は一時所得と見なされるからです。残債が大きい内に万一の場合は、確定申告で数百万の納税が必要な場合もあります。
まずは、九州住環境研究会にご相談ください。