九州住環境研究会

No.22 蓄電池や新燃料開発・技術革新。
脱原子力発電の鍵を握る住宅の高性能化と「ネット・ゼロ・エネルギー」住宅。

2011年08月31日更新

ネット・ゼロ・エネルギー住宅という理想が現実に。

「スマートハウス」や「ネット・ゼロ・エネルギー」住宅など、耳慣れない言葉がマスコミに登場しています。「スマート・ハウス」については、スマートフォンなどで、住宅の内部の照明や電力の使用をコントロールできる省エネ住宅のことです。「ネット・ゼロ・エネルギー」住宅は、自給エネルギー時代を象徴した言葉となっています。

脱原発が叫ばれている今、大がかりな発電ではなく、ガスタービンなどを使用する小規模な地域的な発電を主流に据える事が考えられています。「ネット・ゼロ・エネルギー」住宅の主要エネルギーは、太陽光発電になるものと考えられますが、その他、天然ガスを利用する燃料電池等が家庭用発電の主流になります。

自給エネルギー装置は、実用段階になっているのか?

家庭用燃料電池

太陽光発電は、高性能住宅であれば、既に実用化段階に入っていると言えますが、ランニングコストとイニシャルコストの比較では、完全に実用化段階とは言えない部分もあります。それは、周辺機器の耐用年数と発電量の関係です。しかしながら、蓄電池やEV自動車の普及によって、家庭用の蓄電が可能になれば、かなり新しい方向性が見えてきます。

太陽光発電の電力を売電に頼ることなく、自家消費できる体制が整うからです。なぜ、売電に頼れないかというと、自然エネルギーの全量買い取りが実現したとしても売電料金は、現在の太陽光発電の1KW42円などは夢のまた夢で、だいたい15~10円以下と試算されています。

しかしながら売電価格は下がっても、電力料金が脱原発によって確実に引き上げられた場合、自家発電の電力を自給できることは、買わない分大きなメリットになります。まだ、第二次補正予算の段階ですが、政府の要人の発言では、第三次補正予算では、燃料電池、現在3.5KW程度の製品で、150万円の製品に補助金を付けて普及を計るというものです。
蓄電池の普及によって、太陽光発電や燃料電池も急速に安くなり普及してくることが考えられます。また、地域的な風力発電や太陽光発電も可能になり、家庭で使用するエネルギー事情は、大幅に変わることでしょう。

今すぐ設置した方が得か、もう少し待つべきか?  

この選択は非常に難しい選択です。松下孝建設の「ハイブリッド・エコ・ハートQ」の場合は、住宅の大きさにもよりますが、40坪程度であれば3.5KW程度の太陽光発電で充分「ネット・ゼロ・エネルギー」住宅が可能になります。しかしながら、太陽光発電のパネルやインバーターなどの周辺機器の耐用年数を計算に入れる必要があります。現在、3.5KWの太陽光発電を取り付ける場合には、200万円~250万円の資金が必要とされています。その辺を充分に考慮して設置を決める必要があります。

発電機器は、今後どの様に発展するのか?

太陽光発電にしても、燃料電池にしても、発電力が年々向上しています。更に新規参入の会社が増えて、中国製、韓国製などの海外製の製品は、現在でも3.5KW程度の製品で150万円程度で設置が可能な製品も販売されているようです。
現在では、性能に定評のある国産品も、普及が進むに連れて安くなる傾向にあるようです。松下孝建設では、資金的に余裕があるのであれば、直ぐに取り付けても問題はないと考えています。設置資金の200万円は、10年未満で充分回収できると考えているからです。これは、住宅性能が優れているから言える事です。

資金的に余裕がない場合は無理をしないで・・・・

資金的に余裕がない場合は、無理をしないで下さい。太陽光発電を取り付ける資金のために、住宅性能を犠牲にしている方もいらっしゃいますが、性能の悪い住宅に無理して太陽光発電を乗せても、10年程度で設備資金の回収が出来なければ、ランニングコストよりもイニシャルコストの方が大きくなってしまいます。それならば、今すぐに太陽光発電等の自活エネルギー装置を取り付けるよりも、住宅性能を高める分に資金を振り分ける事をお勧めします。

住宅性能を「長期優良住宅」基準で造っておけば、いつでも自活エネルギー装置の取り付けが可能です。高性能住宅の資金は100万円~200万円を上乗せするだけで充分です。高性能住宅ならば、設備機器がリーズナブルになってから、いつでも最高の設備の設置が可能になります。

住宅性能が自活エネルギー設備の資金を生む?

高性能住宅は、省エネルギーで生活が出来ます。一般住宅との光熱費の比較では、約10年で240万円の差が出来るというシミュレーションもあります。その差額で充分、自活エネルギー装置が取り付けられます。