2023年2月24日更新
世界的な金融変動で、円安が極端に進み、我が国の長期金利にも上昇機運が押し寄せています。日銀総裁も決まり、新年度からは長期金利が上昇するのではないかという予測から、住宅建築をお考えの皆様の中には、住宅購入計画を急がなければならないとお思いの方も多いと思いますが焦りは禁物です。目先の動きに惑わされないで家計状況を踏まえた堅実なプランに戻さないと、先々の資金計画が狂ってしまいます。
これから計画を進めるのであれば、まず購入可能な金額を見積もることから始めて下さい。可能であれば物件価格の20%の自己資金と、これから予測されるライフイベント(出産など)に対応できる資金や家計に不測の事態が生じたときに対応可能な予備資金が生活費の半年から1年分、用意してあれば問題はありません。
計画が現在の家賃を基準に組まれている場合は、賃貸では必要なかった固定資産税や火災保険・地震保険、メンテナンス費用や借り入れに伴う生命保険(団信)などの保険料等も必要になります。また返済期間は収入ダウンも想定して65歳までには、完済可能な設定にしたいところです。
金利タイプには主に市中金融の「変動金利型」と住宅金融支援機構の「フラット35」を代表とする「固定金利型」があります。
変動金利にも「固定金利選択型」(10年固定金利)等の金融商品があり、固定金利型の金利が上昇している一方で、変動金利型の金利はまだ低金利を維持していますから、現在も変動金利を選択している方が圧倒的に多い現状です。
変動金利は半年ごとに適用金利が見直されることを知っておかなければなりません。
毎月の返済額が一定の元利均等方式で契約している場合、多くの金融機関では「5年ルール」で契約者の急な返済額の変化を抑制するために金利動向にかかわらず5年ごとに返済額を見直し固定する仕組みがあります。
金利の上昇では、返済額の中でも返済が優先される利息の割合が高まるため、元本返済が進まなくなってしまいます。
もしも欧米のように急激に金利が上昇した場合は、返済額の範囲では収まらない金利が発生する可能性があることから、6年目の金利によって返済額を見直す際に返済額上限を最大でも従来の25%増の「125%」に押さえる仕組みもありますが、金利が上昇していれば元本の返済は進まなくなります。
住宅資金等高額の資金を長期で借りる場合は、総返済額がいくらになるか予測することは非常に難しく、将来不安を少なくするためには、固定金利の「フラット35」を選択するか10年固定金利選択型など、長めの固定金利型の選択が安心です。
現在、変動金利で借り入れている人々も「固定金利」の「フラット35」に借り換えるなど、将来の金利高を予測して長期金利が低い内に借り換え等、対策を講じている方もいます。
ペアローンや収入合算型については昨年10月にもお伝えしていますが、要点は同一物件に対して複数の債務者(借り入れ人)がそれぞれローン契約を行い、お互いが連帯保証人になります。
住宅ローンを借りても一人で返済し続ける事に不安を感じたり、自分の収入だけでは希望通りの住宅資金の借り入れが無理な場合もあり、親族2人の収入を合算して住宅ローンを組む場合は、収入合算とペアローンという方法もあります。
銀行によってはご夫婦、同性パートナー、親子でのペアローン(債務者は2名まで)も可能です。
金融機関によって内容も多少違いがありますから、不明な場合は、金融機関の担当者に基本的な単独ローンの場合の条件と比較して、メリット・デメリットを確認しておきましょう。
「収入合算」は主債務者しか団信加入ができないため、連帯保証人に万一のことがあっても返済金額は変わらずにローンはそのまま継続します。住宅ローン控除や「すまい給付金」の対象は、主債務者のみで連帯保証人には税制面の特典はありません。
「ペアローン」は、組まれた両名とも住宅ローン控除の恩恵を受けますが、契約を2本するのと同じ扱いで、事務手数料や諸経費は2名分必要です。また両名とも団信に加入できますが、どちらかに万一のことが起こった場合、債務免除は1人分のみで、残された人の返済義務は継続します。
収入合算やペアローンは借入額を増やすのには効果的ですが、金利的にはデメリットも大きいため、常に危険も伴います。
資金計画に迷いがある場合には、九州住環境研究会にご相談下さい。
信頼できる銀行の担当者と共に、建て主様に最も適切な「資金計画」をご提案致します。