2011年01月26日更新
自民党政権の置き土産になっていた各種の住宅減税は、昨年をピークに縮小しています。住宅ローン減税は、一般住宅の場合、昨年までが最大控除額500万円でしたが、今年は400万円、来年は300万円、再来年は200万円と順次減少します。「長期優良住宅」の場合も、今年までが最大600万円、来年からは400万円、再来年は300万円と減少します。「長期優良住宅」と一般住宅との間には最大控除額200万円の差がでるため、今年中に「長期優良住宅」に入居可能であれば、建て主に取っては、大きなメリットになります。
贈与税の非課税枠も今年11月までの時限措置で、直系尊属(親・祖父母)から住宅取得資金の贈与を受けた場合、100万円まで、年間の基礎控除と合わせて1,110万円まで非課税贈与が受けられます。最も非課税金額の大きい相続時精算課税制度の場合は、65歳以上の親からの贈与であれば、条件を満たすことで最大2,500万円まで非課税となります。この場合は、生前贈与分も含めて精算する制度になっています。本年末までの時限措置では、65歳という年齢条件がはずれているために、65歳以下の若い親からも贈与が可能です。
「長期優良住宅」に関する登録免許税の軽減措置も本年末まで、住宅エコポイントについても本年末までに新築住宅の着工が条件になっています。「フラット35」S(スペシャル)の金利の大幅引き下げ措置も今年末までの申し込みが条件になっています。このように、今まで住宅建築を牽引してきた、緊急の景気対策に伴う時限措置の主なものは、今年の末までに終了してしまいます。
※フラット35sは、2011年入居が当初10年間1.15%、11年目~20年目1.85%、21年目以降2.15%、
2012年入居は当初10年間1.85%、11年目以降2.15%で計算
※住宅エコポイントは期間が延長され、2011年12月31日までに建築着工したものに最大30万ポイントが発行されるが、
太陽熱利用システムを設置する場合には11年1月以降年内建築着工したものに2万ポイント発行される(1ポイント=1円相当)
※11年入居、12年入居とも7月入居として計算
上図は、今年住宅を建てる場合と、来年に着工がずれ込んだ場合の必要経費の比較をシミュレーションしてみた図です。同じ5,000万円の予算で土地・建物を取得した場合Aと、すでに土地は取得済みで、そこに3,000万円の住宅を建てた場合Bのシミュレーションです。設定条件は、架空ですから全てが当てはまるとは限りませんが、この設定条件で今年中に住宅が取得できれば、住宅ローン減税は10年で369万円、これが来年の取得になってしまうと308万円になり、その差額は61万円。今年取得することでこれだけの差が生まれます。次の項目には、住宅エコポイントの差額、贈与税非課税枠、「フラット35」Sとその差額を示していますが、総額では、Aの場合で644万円の差額が出ます。Bの場合でも302万円の大きな差額が出ます。更に、消費税率の値上げ論議も本格化し、住宅の取得は来年以降、益々厳しくなる事と予測されます。
今年中の住宅取得がいかに有利であるか述べて参りましたが、更に住宅を取得した後の対策も考えておかなければなりません。それは、環境税やエネルギー税というような、環境対策に対する税の創設です。そのために必要なものは、住宅の省エネルギー性能であり、確かな温熱環境が担保できるかどうかの見極め、が必要になって参ります。住宅の維持管理費が莫大に大きくなる可能性もあるからです。国の方針としてはNZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)等、住宅で使用されるエネルギーを0にする方向性が明確に示されています。
九州住環境研究会では、それらの増税に対応できる「長期優良住宅」、又は相当する性能を持った高品質な住宅を標準でお建てしております。