九州住環境研究会

No.177 金利上昇前にローン返済負担を減らす。
欧米の金利上昇により世界中でインフレが進行する中、日本の低金利はいつまで続く?
将来の家計負担を考慮して住宅ローンの繰り上げ返済を行う場合の考え方!

2022年6月28日更新

欧米の金利上昇で変動型の場合は気になるところ。

国土交通省の住宅市場動向調査では、住宅購入者の借入金調達平均額が上昇傾向にあることがわかました。戸建て住宅の場合は2017年の場合は、約2800万円でしたが21年度は約3400万円に増えています。住宅価格の上昇と低金利が続いている中で借り入れに依存して住宅購入が行われている状態が続いているようです。

住宅ローンの金利には変動型、全期間固定型、固定期間選択型と言った3種類がありますが、現在の主流は変動型で、住宅金融支援機構の調査ではローン利用者の67%が変動型でした。金利水準は歴史的な低さで年0.5%を切る金融機関も多く全期間固定型に比べて金利水準が低く、目先の返済額は抑えられています。

変動型の金利は半年ごとに見直される仕組みですが今後、金利が上昇すると支払利息は当然増えて参りますから金利の上昇は大きなリスクになります。 日銀の黒田総裁の任期は、来年度までありますから、金利の大幅な上昇は本年中は無いとの予測の方が多いようですが、参議院選挙や海外の金利動向から、多少の変化があるという予測は立てておかれる方が無難ではないかと思われます。

金利上昇のリスクを抑える繰り上げ返済という手段。

元本の一部を前倒しで返済することで、将来支払う予定の利息を減らす事が出来ます。「住宅購入時に金利の低い変動型で多めに借り入れ、繰り上げ返済を活用する事を前提にしている人もいる」という大手銀行の情報もあります。

繰り上げ返済は、主に2つの方法があり、毎月の返済は変更しないで、返済期限を短くする「返済期間短縮型」と返済期間を変えないで毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」です。
返済期間短縮型は繰り上げ返済した額に相当する元金を先に返済する形になり、その期間の利息を払わないで済みます。毎月の返済額が一定となる元利均等返済の住宅ローンの場合は、返済当初は毎月の返済額に占める元金の割合は小さく利息の割合が大きくなります。ローン返済の早い段階で繰り上げ返済をすれば支払う利息の削減効果も大きくなります。

返済額軽減型は繰り上げ返済額を均等に割り振る。

残りの期間全体に均等に繰り上げ返済額を割り振る形になるので毎月の元金の返済が少しずつ減り、その分支払額も抑えられる形になり、返済する総額を減らす効果は期間短縮型に劣りますが、毎月の返済額を抑える効果はあります。繰り上げ返済は、基本的に利用者の都合でいつでも出来ます。

最低額は1万円からで金融機関によっては、1円からでも受け付ける所もあり、手続きをすると翌月からの返済額や返済期間に反映されます。インターネット経由の手続きであれば毎月数回までは手数料がかからない金融機関も多くあります。

手続きをする際には、繰り上げ返済後の毎月の返済額や残りの返済期間を確認できるのが一般的です。繰り上げ返済を行えば、確実に返済額は減りますから積極的に実行したいと考える方もいらっしゃいますが、家計全般のバランスを考えてムリのない方法で行う事が重要です。

減税のある期間はローン残高を減らすよりも貯蓄を優先する。

繰り上げ返済には。余裕資金を充てるべきで、繰り上げ返済の失敗例として、本来、失業や収入減少に備えて6ヶ月分程度の生活費を預貯金で確保して置くべきですが、それを下回ると万一の場合お金がたりなくなる場合があります。特に子供が高校や大学へ進学を控えている場合は、将来、教育費などのために支出が膨らみ家庭の預貯金に余裕が無くなる場合もあります。

金融のプロの意見では「繰り上げ返済で預貯金を減らすよりも、借金も多いが貯畜もそれなりという余裕を持っておいた方が安全性も高い」と言う話でした。家計に想定外の事態が起きても乗り切れるような貯蓄も確保しておく方が無難なようです。

ひとたび期間短縮型の繰り上げ返済をして返済期間を短縮してしまうと多くの金融機関では、再びのばす事が難しいようです。変動型ローンの利用者で金利上昇が心配な場合は、固定金利型のローンに借り換えるのも一案と指摘しています。

金融機関の多くは、元利均等返済の場合、変動金利型の住宅ローンに、「5年ルール」や「125%ルール」を設定。
5年間は金利が変動しても毎月の返済額は変更しない。5年後に返済額を上げる場合には25%増を上限にすると言うものです。返済額軽減型の繰り上げ返済では5年ルールは適用されない場合が多く、繰り上げ返済が有利とも限らない事態もあります。詳しい内容は、九州住環境研究会の担当者にご相談下さい。