2022年3月29日更新
有事に強いといわれてきた円がロシアの「ウクライナ」侵攻で円安に振れるという、今までに無い展開で、我が国は円安による資源高に見舞われています。 特に住宅建築の木材の値上がりが顕著で、米国の金利引き上げも重なり、日本国内の物価上昇圧力が住宅ローンの変動型の金利上昇にも広がっています。
住宅ローン金利には主に3タイプがあり、金利が完済まで変わらない「全期間固定型」、当初の5年、10年など一定期間は金利が変わらず、その後に再び金利タイプを選択する「固定金利選択型」、半年ごとに金利を見直す「変動型」です。
「固定型」の適用金利は、長期金利を参考に金融機関が設定します。
「変動金利」の多くは日銀の金融政策に影響を受ける短期プライムレートに1%を上乗せして基準金利とし、ここから一定の金利を引き下げて適用金利とする仕組みです。
大手銀行の適用金利は「全期間固定型」で22年3月に年1〜1.8%程度に上昇し、「変動型」は、日銀が大規模金融緩和政策を維持しているために年0.4%〜0.5%で推移しています。住宅金融支援機構が21年10月〜11月に調査した結果では、変動型が全体の67%と最多で「固定型」の関心が高くなっているようです。
住宅金融支援機構と民間銀行が提携している全期間固定型ローン「フラット35S」の金利は、諸経費を考慮した実績ベースで3月時点で1.438%。前月比で上昇したものの大手銀行の変動型の最優遇金利との差は、年0.933%で04年からの平均金利差を下回り、平均金利差を下回るなら「全期間固定型」はまだ、割安な水準といえるようです。金利差は将来の金利上昇リスクを避けるためのコストに当たります。
5年前に4000万円を期間35年0.625%の「変動金利」で借り、月返済額10.6万円ずつ返済している場合、残債額約3500万円を現時点で1.15%の「全期間固定」に借り換えると月返済額は11.8万円、残債の総返済額は約4240万円になります。いずれも現在よりも増えますが返済負担は市場金利が今後上昇しても変わりません。
借り換えずに「変動金利」が借り入れから10年経過後に上昇した場合、変動型の基準金利が過去の平均値である3.683%に上昇すると基準金利からの引き下げ幅は、完済まで変わらない仕組みなので適用金利は1.833%になり、月額返済は12万2千円、返済総額は4310万円と全期間固定よりも膨らみます。「変動金利」が過去の平均値まで上昇するとはかぎりませんが、金利上昇リスクにある程度備えながら金利動向を見極める場合は「固定金利選択型」の選択肢もあります。
10年固定で0.85%の場合月額返済は11.3万円の返済で済みます。但し固定期間終了後に借り換える場合は、諸費用が再び必要になります。
金利は期間が長いタイプから上昇するのが一般的で「変動型」の金利が上がる頃には「固定型」の金利はより高い水準にの可能性が大きく「固定型」に変更したいなら早めの実行が大切です。「変動型」から「固定型」に借り換えれば月額返済が増えることを覚悟すること。
負担増を避けたいならば残債を予定よりも前倒しで返済する繰り上げ返済という方法があります。資金に余裕があるならば、適用金利が上昇した時に一定額を繰り上げ返済すれば、元本と利息負担が減り、毎月の返済額は維持出来ます。
4000万円を期間35年・変動金利0.5%で借り、月10.4万円返済している場合。適用金利が返済開始から5年後に1%上昇すると約240万円、10年後に2%に上昇した場合、約480万円必要になります。借り換えを選択しない場合は、金利上昇に備えて毎月一定額を貯蓄し、先に述べたように繰り上げ返済の用意も必要です。
日銀の黒田総裁が交代する前に住宅を建てるのであれば「固定金利」で借りる方が安全性は高いようです。もっと詳しく知りたい方は、是非、一度、九州住環境研究会にご相談下さい。