2021年1月29日更新
世界の電力需要は、2050年には、現在の2倍になります。それは、脱化石燃料、カーボンゼロの時代を迎えるからで、世界の自動車や動力源は、ほとんど全てが、二酸化炭素を排出しない電気「緑の電気」(再生可能電気)で実現されるからです。
管首相が就任演説で2050年までに「脱炭素社会」の実現を表明したのは、太陽光発電に関する、我が国発の新技術の存在があります。それは「ペロブスカイト型・太陽電池です。これは2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した技術で、現代の太陽光発電とは全く異なる方法で発電します。新型太陽光発電は、液体の原料を塗るだけでどんなものも太陽光発電になると言う画期的な発明で、現在の重く、堅く、広大な場所を必要とする太陽光発電とは全く異なるものです。現在世界中で開発競争が始まっていますが、先行する東芝はフイルム型の太陽光発電の開発で現在、電気を生み出す効率を14・1%まで高め、ビルの壁面、電気自動車、自動販売機、スマートフォン、衣類などに展開しています。
ここ10年あまりで発電効率を急速に高め、現在の太陽光発電の20%台に迫る勢いで、米スタンフォード大学の開発チームは、製造法の革新で1kW時当たり、2円前後と最も安価な再生可能エネルギーになるものと予測しています。桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授は、すでにノーベル賞候補にノミネートされています。
太陽光や風力、水力、地熱が主流のクリーンエネルギーですが、島国の我が国には、潮流という特有の資源があり、波浪の影響を受けない海中に設置されるため、安定した電気エネルギー源として「潮流発電」の準備が進んでおり、近年中に環境省から実証事業を受託したプラントが九州電力によって稼働する予定です。「九電みらいエナジー」の寺崎事業企画本部長は太陽光発電並の低コストとは行かないものの、日本近海には原子力発電の20基分の潮流エネルギーが眠っており、24時間、天候に左右されない安定したエネルギー源になりうると解説しています。
スマートフォンへの搭載が進み、すでに身近なものと成りつつある無線給電。自動車(EV)との相性も良いことから、ドロンや工作機械などへの適用範囲拡大に向けた技術開発や指針の議論が本格化。早ければ本年中にも現在より高出力の技術や伝送距離が長い技術が実用化される見込みで、NEDを中心に電力・自動車業界もこうした流れに注目しており、ベンチャーへの出資や、共同研究の動きが加速しています。
無線給電については19世紀から存在しており、新しい技術ではありませんが、効率、安全性、電波利用との干渉が実用化のネックとなり長らく忘れられた技術でした。現在実用化されている無線給電は課題の少ない小電力・短距離の電磁誘導方式で、スマホ向けのQi規格は15W以下を規定。送電側と受電側に大きな隙間があれば給電されません。「どこでも充電」を行い自動車や産業用に活用するためには、出力増強やエネルギーを電波に変換、送受信する方式の確立がひつようで、内閣府は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として遠距離・高効率・大電力で安全な無線給電の研究開発を18年度から開始。そのうち基盤技術開発の項目は名古屋大学教授でノーベル賞受賞者の天野浩氏が責任者となるなど「オールジャパン」の体制で取り組んでいます。
現在、自動車の未来は、電機自動車と燃料自動車の2択になっていますが、給電システムが確立し、道路に埋め込まれた送電線から給電できる「走行中給電」が可能になれば、圧倒的に電気自動車(EV)が有利になります。
現在のEVは、バッテリーの搭載量で走行距離が決められますが、道路からの「走行中給電」が確立すれば、バッテリーの積載が不要になりEVは燃料の補給の心配がなくなり、軽量で効率的な自動車の開発が可能になります。水素を燃料とする燃料自動車よりも圧倒的に有利になります。
送電方式が変更になるだけで、自動車の未来は確実に変わります。また、電力の無線給電が可能になれば、ドローンは永遠に飛び続けられますし、電池の搭載が不要になれば、大型のドロンによる、空飛ぶ自動車も確実に実現します。
現在、JAXAが開発しているシステムは、宇宙空間で太陽光発電を行って、その電力を衛生の動力源にしたり、地球に送電することも可能になります。給電方式の変更だけでも産業構造は大幅に変わります。日本の技術は、「ペロブスカイト型・太陽電池」から、電力の給電方式に至る、最前線のイノベーションのまっ只中に、それも最前線で頑張っています。
オランダで2014年、世界初のソーラー道路「ソラロード(SolaRoad)」が自転車専用道路として建設されました。フランスのマクロン大統領が今後5年間で1000kmの道路にソーラーパネル舗装材を敷設し、500万人に電力を供給すると発表しました。
道路の活用は、広大な電力を生みだします。世界中で地球温暖化を止めるための、イノベーションが確実に始まっています。
我が国でも、東京大学大学院新領域創成科学研究科の堀洋一教授を中心に道路の施工方法や素材の選定、給電実験が開始されています。 「走行中給電とは、電力を非接触でEVに供給するワイヤレス給電を応用した技術だ。路面に埋め込んだ送電コイルに電流を流して磁界の振動を生み出し、車側のコイルに伝えて充電する。
電車が架線からエネルギーを受け取って走り続けるのと同様、車が道路から電力をもらいながら走れば、余計なエネルギーを電池に蓄えて持ち運ぶ必要はない。加えて、高速道路や市街地の主要な交差点などに給電設備を敷設しておけば、充電待ちの時間やエネルギー切れの不安からドライバーを解放できる。走行中給電は、EVの利便性を飛躍的に向上できる」と期待をかけています。
九州住環境研究会は「SDGs」で地球温暖化や人類の未来に関わりを持って工務店活動を継承していくことを宣誓しています。これからも、地球環境と人間に優しい住宅造りに邁進して参ります。住宅建築のご用命があれば、是非、一度最寄りの会員工務店にご来駕下さい。もしも、交通手段がない場合は、お電話やホームページでお問い合わせ頂ければご希望に添えるようご案内いたします。