九州住環境研究会

No.139 温暖化の原因に、ウイルスの関与が!
コロナウイルスが猛威を振るう中、ウイルスの新しい姿があらわになった。
ウイルスは、異常気象や地球温暖化の原因になっていることが解った!

2020年11月30日更新

エコロジー(生態学)の概念をいま、ウイルスが変える?

「人間の生活や活動によって二酸化炭素が発生しても、地球のシステムが持つ、自然の防護・再生機能が働き、地球環境は森林や海洋が干渉して気候の変化を和らげる」というのが今日までのエコロジーの考え方でした。

その力を促進させるために我々は、地球環境の保全に務め、エコロジーをエコと呼びかえて、例えば、エコ・システムなどという新概念を創作して活動してきました。しかし、米国のライス大学の研究で、通常は人間活動に伴う二酸化炭素の3割を海が吸収し、毎年20億トン以上の炭素が海水に溶け込み、その働きをするのが「シアノバクテリア」で、このバクテリアが炭素を蓄えて海水にとけ込ませる。というのが、今までの定説でしたが、本年5月にライス大学は「海のウイルスがシアノバクテリアに感染し炭素を蓄える能力を弱めている」という論文を発表しました。それによると、年に10億トン単位の炭素吸収を他のウイルスが阻止している恐れがあると警告しています。

海洋ウイルスの大きさや数、感染状況はどんなもの。

海洋ウイルスの数は、10の30乗個を超える想像もつかない数だといわれます。沿岸で採取した1㎜ℓの海水中には数千万個〜数億個のウイルスがいるといわれ、ほとんどが未知のウイルスです。ウイルスは、海洋中の微生物や藻類に感染(感染はウイルスが生きる普通の状態)し、藻類などは感染による死滅と増殖を繰り返しています。

そもそも、ウイルスとはどんな性質のものなのか?

ウイルスの構造は、核酸(DNAやRNA)をタンパク質で包んだだけの非常に単純なもので、このような単純な構造のウイルスは、自己の複製を作るどころか、エネルギー生産・代謝活動すらできず、感染以外の生体活動は一切行われません。ただし、遺伝物質である核酸を持っているので、他の生物の生きた細胞内に侵入(感染)することで受動的に自己の複製を作ることが可能です。

生命の最小単位である細胞をもたないので、ウイルスは「非生物」であると位置づけられる傾向にあります。大きさは大腸菌が2000~4000nm(1ナノメートルは1㎜の100万分の1)であるのに対し、20~300nmと極小なため、電子顕微鏡を使わないとその詳細を観察することはできません。コロナの場合は、0.008nmと兆極小サイズのウイルスです。

温暖化がもたらす環境汚染にウイルスの介入が?

産業革命以降、世界の気候は約1℃上昇しましたが、それは二酸化炭素の増加が原因ですが、専門家は「温暖化が無ければ最近の異常気象の幾つかは起きなかったはずだ」との分析が多いようですが、温暖化の影響で気候のバランスが崩れ、異常気象の確率が増えている事で海洋ウイルスの関与が明確になってきました。

「すでに実態を掴んだ」と思われていた地球環境の行方がさらに混沌とする事態になっています。太陽活動や地軸の影響などでの気候変動は、過去にも幾度となく経験し、多くの文明の存亡を担ってきましたが、2万年以前の氷河期から、温暖化が進み人類は、氷河期の狩猟生活から採集中心の定住生活に移り、現在の文明を作ってきましたが、紀元前2千年前後の寒冷化で、約8000年続いたエジプト文明は初期王朝・古王朝時代が終焉しました。

このような例から経済理論学者からは、気候変動で食料が減るなどの混乱が権威失墜を助長し、様々な政変を起こし易くして、今世紀中の温暖化も農業生産が難しくなり、このままでは「文明が揺らぎかねない」と警鐘を鳴らしています。

海洋ウイルスの活用で温暖化阻止の可能性?

海洋研究開発機構などの調査で2018年太平洋の5カ所で集めた10リットルの海水から842種のほぼ全種が新種ウイルスの発見が報道されていましたが、この中には、温暖化対策に貢献するウイルスの存在も予見され、既に北海道大学の亀山教授によると「一部のウイルスが感染したプランクトンの死骸からは硫黄を含む物質が漏れ出し、雲の水滴を作る核になり、わずかな量でも温暖化でプランクトンの大繁殖により、雲が太陽光を遮る可能性がある」と言い、海洋ウイルスの一部は赤潮を起こす植物プランクトンに感染しますが、感染を通じて、有機物の循環に関わり、一方では人や動物、植物に感染しても病気を起こさない種類も多いようです。

このウイルスを利用して有害なプランクトンを死滅させて養殖のカキや魚への被害を防ぐ試みもあり、ウイルスには有用なものも少なくないのです。

雨粒の核になるエーロゾルにウイルスも一役。

空気中に浮遊する塩粒や黄砂・火山噴火のちり等が浮遊し、それに水蒸気が結露して雨粒ができますが、中にはラクダや羊に感染していたウイルスも混じることが最近わかってきました。このように感染症の元となるウイルスですが、微細なウイルスは雨粒の核として降雨のために役立っている部分もあります。今後は、ウイルスとの賢い付き合いが益々重要になります。

九州住環境研究会・加盟工務店は、コロナ感染に細心の注意を払って建築現場公開しています。ご見学ご希望の方は、事前予約(当日可)の上ご来場をお願い致します。ご希望の場合は、完成現場の見学も承っていますので遠慮無くお申し付けください。