九州住環境研究会

No.125 第1種全熱交換は危険性がいっぱい!
なぜ「九州住環境研究会」は、第3種換気に拘るのか!
北欧・スウェーデンで最もポピュラーな換気は第3種!

2020年4月27日更新

第3種換気よりも第1種換気が優れているという誤解。

建築基準法で24時間換気が義務化されて以来、住宅見学会や住宅展示場では換気装置の解説も行われると思いますが、ほとんどの住宅メーカーは「第1種全熱交換」を勧めていると思います。『熱交換で暖冷房熱が回収されるため「省エネルギー」になる』と解説されているのでしょう。
国産メーカーは、95%の熱交換率などと喧伝していますが、それには、ほとんど根拠がありません。例えば九州の夏の平均外気温30℃で、室内温度28℃設定(温度差2℃)、冬の場合の平均外気温15℃で、室内温度22℃(温度差7℃)では、ほとんど「熱交換」の効果がないからです。
北欧の場合は、冬の外気温、零下40℃で室温22℃とすると室内と外気温との差は(66℃)もあります。これくらいの温度差であれば「熱交換」の意味もありますが、それでもスウェーデンでは「全熱交換」は勧めていません。
北欧の輸入換気メーカーが組織している「日本輸入換気システム連盟」では『どうしても熱交換を採用する場合は顕熱タイプを勧めます』として、我が国ではスタンダードになっている「第1種全熱交換換気」の問題点を「表・1」のように指摘しています。

「全熱交換」(※廃熱の熱と水蒸気を再利用するので、省エネになると宣伝されている。熱交換素子からの汚染空気の漏れが再循環することが指摘されている)の場合は、室内で発生した様々な菌が、フィルターに付着し増殖する恐れがあります。TVで報道されているコロナ病棟では、換気装置が停止されてビニールで囲われていますが、これは廃熱・水蒸気を再循環させる「全熱交換」の換気装置だからと考えられます。
40年以上も前にアメリカでは在郷軍人病というお年寄りや体力のない人が、空調機の噴き出し口からの細菌感染で亡くなる事故がありました。それ以来、アメリカでは「全熱交換」から熱だけを交換する「顕熱交換」が主流になっています。
院内感染、乳幼児の細菌感染などは、空調ダクトを通じて細菌が発生源の部屋から病院全体にばらまかれるように拡散して起こるもので、今回の新型コロナの院内感染も全熱交換の換気装置が原因でないことを祈るばかりです。

安全なはずの「顕熱交換型」でも給気配管に問題が?

快適性の高い省エネルギー住宅で世界をリードしていたころのスウェーデンでは、建築ブームで造られた住宅でシックハウス症が多発したことがきっかけで1970年代から「全熱交換」ではなく、既に「セントラル第1種換気」(※セントラルとは、換気装置本体から配管で換気を行うことで、配管を行わないダクトレス換気装置もあります)が本格的に登場していました。1990年までの20年間は、汚染問題がほとんど起きない「顕熱交換」(※廃棄の熱だけを取り出すので空気は汚れない)の全盛時代でしたが、20年後に新たな問題が発覚、それは新鮮空気を供給する給気側のダクトが汚れて「シックハウス症」が発生したことです。
そこで危機感を抱いたスウェーデンでは、1993年に非常に厳格なダクトの保守管理を義務付ける法律改正を実施し『給気配管の清掃義務』が課せられました。それによって、『セントラル第3種換気と顕熱回収』の組み合わせが主流となり、配管は「排気配管」だけ。(セントラル第3種換気の特徴)換気・給気の空気交換で一切、室内空気に悪影響を与えないので清掃義務と定期点検のみで問題がなければ交換等の必要もありません。
この様に換気先進国の欧米では長い換気の歴史の中で「セントラル第3種換気」が、衛生上有利だと再認識されたのです。汚染空気を確実に排気し、室内にクリーンな空気を導入するためには「セントラル第3種換気」が最良の選択になります。給気を各居室の給気口から直接室内に取り入れるため、給気経路での空気汚染の心配がほとんどないほか、排気はすべて「換気装置」に集められて、ダクト排出するので、給気に混入する心配がありません。配管も排気側だけで済むのでシンプルで安定した換気が行えます。
九州住環境研究会では、「帯電フィルター」(※従来のフィルターから静電気を利用した帯電繊維にゴミや細菌を補修する仕組みで、1年以上の使用も可能)を標準採用しています。現在、旧タイプのフィルターをご使用の場合は、「帯電フィルター」に変更も可能です。

国交省も注意を促す「全熱交換」のデメリット。

第1種全熱交換換気の問題点は、全熱交換タイプの「熱交換素子」内での汚染空気と新鮮空気の「混合」で、顕熱タイプは車のラジエータのように金属、または樹脂のフィン「素子」を介して室内の熱(汚染空気)を外気から取り入れた給気に伝えるので、汚染空気の混合はほとんどない仕組みですが、全熱タイプは、排気に含まれた水蒸気なども受け渡す、多くは紙状の「熱交換素子」等を使っているため水蒸気と同じか、それよりも小さい化学物質などは、新鮮空気に混入する危険性があり「透過」率は「熱交換率」とほぼ同じと言われています。汚染物質の5割程度が新鮮空気に混入する危険性があるということです。
日本では「シックハウス新法」の制定の過程で「ホルムアルデヒド」などの有害物質濃度が「熱交換換気」によってどの程度の低減率になるか測定したところ、あまりにも結果が悪くその主な原因は『素子内の給気と排気の混入「透過」』だっということです。国土交通省は『木造住宅のシックハウス対策マニュアル』の中で「全熱交換」内部での汚染空気の混入問題について、全熱交換型は換気時『排気の一部が給気に混入するというデメリットもあります』と、ハッキリと指摘しています。
日本では熱交換は省エネのための装置と思われていますが、北欧ではヒーターを組み込んだ暖房装置の一部という考え方で、イニシャルコスト+ランニングコストの合計では、当然高くつき、決して『省エネルギーになり得ない』ことは、ハッキリとした事実です。

第3種「排気型」換気と九州住環境研究会の取り組み。

これらの問題を考えると、汚染空気を確実に排気し、室内にクリーンな空気を導入するためには「セントラル第3種換気」が最良の選択ということになります。第3種は給気を直接屋外から室内に取り入れるため、給気経路での空気汚染の心配がほとんどないほか、 排気はすべてファンで集めて排出するので、給気に混入する心配がありません。また、配管は「排気側」だけで 済むのでシンプルで安定した換気を行えます。
問題なのは「セントラル第3種換気」を行う為には、住宅性能が非常に高い必要があり、特に気密性能はC値=0.5以下が必須の条件です。これがクリアー出来なければ「第3種換気」は使用出来ません。詳しく知りたい方は「九州住環境研究会」会員工務店までご連絡ください。関連資料を差し上げます。
更に「九州住環境研究会」では、第3種換気と共に『空気清浄型全館循環空調』装置を標準装備しています。住宅の断熱・気密性能を高めて、全室に取りつけられた給気口に「帯電フィルター」を設置して、クリーン空気を取り入れて、更に空気循環の過程で「空気清浄器」による空気洗浄を繰り返し行うシステムです。室内を空気が循環する過程で、空気は清浄化します。しかもこのシステムは、イニシャルコストが安く、住宅全体が「エアコン一台で暖冷房」が可能になる、本物の健康・省エネルギーシステムです。