2019年8月30日更新
医学の進歩で私たちの寿命は世界一位の水準まで長寿命になっています。今回は、60歳代の人生の節目を迎えられている皆様に焦点を当てて、老後の住まいに関する新築やリフォームの国の支援策について考えてみたいと思います。
信長が生きた戦国時代から、つい最近まで「人生50年」が日本人が意識してきた寿命でした。それが現在では、人生50年どころか、その倍の100年という、驚くべき数字になっています。
この様な長寿命社会では、老後の「終の棲家」が確かなものでなければ、老後資金を住宅経費が圧迫するばかりではなく、せっかく今まで形成してきた、住宅という財産が子供や孫たちに取っては、負の遺産にならないとも限りません。
現在、社会問題となっている「放置住居」や、老後資金の2000万円不足問題等、庶民には、答えの出しようもない問題が山積しています。
定年後の住まいについて、建て替えや「リフォーム」を考えることは、自分たちの老後と共に、子供や孫たちにも、大きな影響を与えてしまうことを認識して考える必要があります。
老後に対しては、自分たちだけの思いで事を運ばないことが重要です。子世帯と同居を望むのであれば、定年前に根回しをしておくこと、それも同居を宣言するのではなく、今後の人生設計を子世帯と真摯に向き合って話し合うことです。最も駄目な例は、退職金で新築するからと、子世帯に同居を強要すること、これではまとまる話もまとまりません。最低2種類の「シナリオ」が必要です。
①例えば新築同居希望の場合、二世帯が独立した設計で、子世代が親世代と協調して生活できる環境を提示することです。
②現在の住宅に、もう一軒建てる敷地があり、住宅も大丈夫なら、今回は2世帯が同居可能な省エネ改修とリフォームで充分かも知れません。リフォームを行うことで、親の住宅には資産価値があり、将来、子世帯が販売したり、貸家にすることも可能になります。
子世帯には新築する敷地があり、自分たちの裁量でいつでも新築可能な夢を残すことで、現在の住宅も資産価値を持ち、子世帯も将来に夢が持てることで、同居も可能になることでしょう。
今、話題になっている年金問題でも、人口減少が益々激しくなる我が国では、親子の共生がとても必要になります。親世代に余力があるときには、子育てなどで子世代を助け、親の老後は子世代が助ける、この様な親子の助け合いが、最も基本的な暮らしのベースになります。その基盤になるものが住宅です。 いま、親子間で住宅問題を考えることが、老後を豊かな心境で、安心して生活が出来る基本になります。現代の60歳は、まだまだ現役世代、現役の今こそ子世代と真摯に向かい合って、子世代と自分たちの将来の方向性を見い出してください。
リフォームの場合は「地域型住宅グリーン化事業」等、一定の省エネ性能を備えたリフォームを実施すると50万円(一戸当たり)の補助金が受けられます。住み替えでは、都心から地方へ、地方から都心への多くの選択肢があり買い換えには下表のような税制上の優遇があります。
住宅を売却して利益が出ると課税の対象ですが、取得する住宅の購入額が旧住宅の売却額を上回れば課税の繰り延べが可能です。
売却によって損失が発生する場合は、翌年以降3年に渡って繰り越し控除を利用出来ます。この様な優遇制度を活用して、60歳代から始まる40年間の第二の青春をご家族全員で楽しんでください。
九州住環境研究会・会員工務店が皆様のお手伝いを致します。