2019年7月23日更新
温暖化が急速に進み、梅雨時の豪雨が異常に発達して、今までは被害の無かった地域が河川の氾濫や土砂崩れで甚大な被害を被っています。
更に、これから発生が予測されている南海トラフ大地震など、豪雨や地震による被災だけではなく、地震や噴火等、予測不能な災害を避けて通れない時代になってきました。
2016年の熊本地震、18年の西日本豪雨、北海道胆振東部地震などでは、多くの住宅が被災し「被災者生活支援法」に基づく給付金を受けました。
同制度は、地震や津波、暴風、豪雨、洪水などを対象に(図・A)最大300万円が支給される制度で、地域の被災世帯が一定数を超えた場合に適用されます。
図・A 「住まい再建」のための公的支援制度。
>住宅の被災で、とりわけ深刻な問題は、住宅ローンの返済中に被災することです。
家が損壊したにもかかわらず、借金が残り、再び新築するためには、被災住宅と新築住宅の二重ローンが発生してしまいます。この様な事態に備えるために、全国銀行協会等がまとめたガイドラインが(図・B)です。
●『自然災害責務整理ガイドライン』
金融機関との合意に基づき、債務を整理するためのルールとして16年4月に運用が始まりました。
本年3月迄に同指針に基づいて熊本地震、西日本豪雨、18年9月の北海道胆振東部地震など、319件の債務整理が成立しています。
図・B 住宅ローンの負担を軽減できる仕組み。
返済困難に陥った時に、借入先の金融機関に申し出ると、支援弁護士らが無償で協力してくれます。協議の上で合意が成立すると簡易裁判所に特定調停を申し立てて解決を図る段取りで、被災後の生活に必要な資金を手元に残しやすく、従来のような破産手続きに比較して、債務者のメリットは大きくなります。
破産の場合は、資産処分により最大でも99万円しか残りませんが『自然災害責務整理ガイドライン』の指針に基づく債務整理では、最大500万円の確保が可能になり、残りの財産でローンの一部を返済します。
被災者生活再建支援金や義援金などとして受け取ったお金も温存できます。日本弁護士連合会、災害復興支援委員会に所属する弁護士の話では「もしも被災した場合は、早めに金融機関に出向き『自然災害責務整理ガイドライン』を使いたいと伝えることが大切で、事前に登録した弁護士らが手助けします」と話しています。
住宅の被害が甚大な場合は、住宅を建て直すか、新たに購入することになりますが、住宅金融支援機構には、被災者向けに低金利で融資してくれる住宅ローン制度「災害復興住宅融資」があります。本年5月段階の適用金利は、年0.41%(特別加算部分は1・31%)です。(注・以下、金利の変動に注意)
「災害復興住宅融資」制度が活用出来るのは、住宅が被災し自治体から罹災証明書が公布されている場合が対象となります。被災日から原則2年間申し込むことが出来ますから、被災当時は、大丈夫と思っていても、被災後2年間の間には、被災家屋がどの様に変化するかわからないので、罹災証明書は大切に保管して置いた方が無難です。
2017年からは、リバースモーゲージ型の「高齢者向け返済特例」が追加されました。これによって、高齢者の場合も新築住宅への入居が可能になりました。リバースモーゲージ型融資は、通常の融資とは異なり、月々の返済は利息分の返済のみで、元金部分は将来自分が亡くなった後で一括返済する仕組みです。適用金利は(本年5月段階で年1・95%)です。
住宅の売却額が残債よりも少ない場合でも、不足分が相続人に請求される恐れはありません。高齢で収入が少ない被災者に有効な制度ですが「子供が再建に協力出来たり、同居して新築するなら、通常の復興融資を利用した方が有利な例も多い」と住宅金融支援機構「災害融資グループ」では分析しています。
自然災害に遭遇しても、火災保険や地震保険の他にも災害支援システム等、様々な支援制度があることを頭の片隅にでも入れておけば、万が一の時にも生活再建の役に立ちます。九州住環境研究会に所属する各工務店は、老後に安心できる暮らしや、皆様の最善の住宅をお建てする為に、様々な研究開発や提案を行っています。住宅建築をお考えならば、是非、九州住環境研究会の施工店にご相談下さい。