2018年12月21日更新
消費増税対策の柱は、住宅購入と自動車購入に対する支援が柱になります。政府は前回の2014年の増税時に想定以上の駆け込み需要とその後の大幅な反動減で景気の長期低迷を招いた経験から、今回は大盤振る舞いともいえる手厚い対策を講じて来ました。その第一が、住宅ローン減税が受けられる期間は現行の10年から13年に延長されます。
住宅ローン減税は年末の借入残高の1%を所得税などから差し引いて、年末調整や確定申告を通じて還付が受けられる仕組みですが、注目の住宅ローン減税は、自民党の「平成31年度税制改正大綱」が決定し、今の10年から3年延長が確定的となりました。延長する3年間の減税額は、今までの税制をそのまま踏襲するのではなく「建物価格の2%の3等分」と「年末借入残高の1%」のどちらか少ない方の金額が還付されます。
1.住宅ローン減税は3年間延長
減税延長の対象は、19年10月から20年末の間に契約し、入居する場合です。工務店に建築を依頼する注文住宅の場合は、19年4月以降の契約で、10月以降に引き渡されるものも対象になります。
減税の仕組みは減税額を抑えるためにかなり複雑になっています。例えば、3千万円の住宅を買うために、同額のローンを組み、10年後の借入残高が2千万円だった場合。11年目以降、仮に毎年100万円づつ返済したとすると11年目のローン残高は1900万円で、その1%は19万円となり、12年目は18万円、13年目は17万円です。購入価格である3千万円の2%は、60万円ですからそれを3等分すると20万円になるため、この場合の毎年の還付額は、少ない方の17万円から19万円となります。
残高が2500万円の場合は11年目以降、1年に100万円の返済を続けるとローン残高は、2400万円で、その1%は24万円、同様に12年目は23万円、13年目は22万円ですから、購入金額の2%を3等分した金額20万円の方が少なくなるので、これが実際の減税額になります。
住宅購入支援は、更に一定額以下の収入の人に、支援の一時金を渡す「住まいの給付金」も拡充されています。現行では収入額の目安が510万円以下の人を対象に最大30万円を支給していましたが、消費税10%では、収入額の目安が775万円以下の人を対象に最大50万円が給付されます。例えば年収510万~775万円の方は、増税後に住宅を購入することで、現在ならば給付されない「すまいの給付金」を手にする事ができます。年収520万円の人なら、40万円も受け取れることになります。
2.すまい給付金の金額拡充、年収要件の緩和
15年に景気対策として実施された「住宅エコポイント」は、一定の省エネ基準を満たした一戸建てやマンションの購入に対して、窓や外壁の断熱改修に1ポイント1円相当のポイントを付与する仕組みで、新築購入に30万ポイント、断熱改修等のリフォームにも30万ポイントを発行しましたが、今回は、耐震性能や子育て世帯の家事負担を軽減するリフォーム等にもポイントを付与する仕組みが検討されているようです。
3.省エネ・耐震性能が高い住宅の新築・改築にポイント
=詳細は予算変性過程で検討
住宅建築には、土地と建物が必要ですが、住宅購入価格の全額について消費税がかかるわけではありません。たとえば「5000万円の家で消費税が2%増税になると5000万×2%=100万円支払が増える」というのは誤りです。土地代金はもともと非課税で、消費税は単純に物件価格に8%を乗じたものではありません。建物の値段にだけ課税され、土地には課税されません。
建物も決して少額ではありませんが前述のように、5000万円の家の半分が建物とすれば消費増税の影響額は50万円です。
中古物件を購入する場合も、個人同士の取引で不動産業者が介在しない場合は、消費税はかかりません。住宅を購入する場合は、この様な事をしっかりと認識しておく事も必要です。
家を建てたり購入することは、人生でもっとも大きなお金を動かすことであり、個人レベルで目に見える社会経済に貢献することでもあります。
国は私たちが家を購入しやすくするために、減税制度や補助金制度でその後押しをしていますが、マイホームを買うことで出ていくお金のことばかりでなく、減税制度や補助金制度を知り、最大限に利用することで何百万円もの違いが出てきます。
消費税値上がりの前が得か後が得かという問題よりも、もっと大切なことは、家を建てさせる施工店の選択です。高性能住宅を選択しなければ、減税効果は、全て水の泡となります。