2018年11月29日更新
「のど元過ぎれば熱さ忘れる」と言う諺もあるように、あれほど騒がれた地球温暖化についても、現在では、中々、新聞記事にもならないような、状況が続いていますが、地球温暖化は確実に進展しています。国連の気候変動に関する、政府間パネル(IPCC)は、本年10月に特別報告書を公表し、産業革命以前に比較すると、世界の平均気温の上昇を1・5℃に抑える目標の達成には、2050年までに、二酸化炭素の排出を実質0にする必要がある。と指摘しています。しかし現状では、各国の削減目標を合算しても1・5℃はおろか、昨年のパリ協定が掲げた、気温上昇2℃未満に抑える「2℃目表」すら実現出来ないことを指摘しています。このままの状況で、継ぎは何が起きるのか?その答えとしての4種類のシナリオが公表されています。
それは①秩序的移行、②技術的ブレークスルー、③混乱、④失敗、の4つのシナリオです。それらを細かく分析すると次のような答えになります。
①今後の国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP)で各国政府が早期に適切な対応を取り、目表達成コースに乗るシナリオ。
②政策は不十分だが、大きな技術の発展がそれを補うだろう。というかなり楽観的なシナリオ。
③政策対応が遅れ、今よりも極端な異常気象に直面し、各国とも急激な厳しい政策がとられるというシナリオ。
④目標達成に失敗し、3℃・4℃上昇となる悲観的なシナリオ。この4つのシナリオが考えられています。
この質問は、本年9月に米国のサンフランシスコで開催された投資家向けシンポジウムで問われた質問で、この会場には、世界各国の「ESG投資家」と言われる「環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資でESG※はそれぞれの英語の頭文字をあわせたことばです。環境では地球温暖化対策や生物多様性の保護活動、社会では人権への対応や地域貢献活動、企業統治では法令遵守、社外取締役の独立性、情報開示などを重視。国際連合が2006年、投資家がとるべき行動として責任投資原則を打ち出し、ESGの観点から投資するよう提唱したため、欧米の機関投資家を中心に企業の投資価値を測る新しい評価項目として関心を集めるようになっています。従来の投資が売上高や利益など過去の実績を表す財務指標を重視したのに対し、ESG投資は環境、社会、企業統治を重視することが結局は企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務指標からは見えにくいリスクを排除できるという発想に基づいている様です。
※環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)
シンポジウムに参加した「ESG投資家」の大多数の63%が③と答え、④の悲観的なシナリオを選んだ人は16%、②が14%、①が5%、と言う結果になったそうです。④以外のシナリオは、最終的に脱炭素社会が実現するという結論ですが、多くの投資家が考える③のシナリオでは、脱炭素社会のゴールにたどり着く過程で、異常気象の影響で、漁業の操業への影響、農業の生産適地の変化、企業活動の物理的なリスクの増大、産業構造の急激な転換に伴う混乱も予測されます。
金融市場といえども、地球温暖化による混乱を回避する手段は無く、世界の金融当局者で構成する「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」は、企業や金融機関、機関投資家に情報の開示とシナリオ分析の実施を提言しています。
株主の立場から企業に気候変動問題への取り組みを求めた「クライメート・アクション100+」と言うイニシアチブ(先導して行う)が発足し、その運用資金は32兆ドル(約3600兆円)に及んでいます。
温暖化対策は、今までは企業活動によるのではなく、自然現象と言い放ってきた投資家や大企業を巻き込むまでに、緊迫化しています。我々もまた地球温暖化の当事者で、見物人ではいられないのです。それは、家庭で使用するエネルギーは、未だにうなぎ登りで増えているからです。米国のトランプ大統領を笑っていられない状況です。これから住宅を建てるなら、高性能住宅を建てて下さい。高性能住宅は決して高い買い物ではありません。消費税の値上がり後も、支援補助金の名目は、「省エネ住宅」に対する補助金という名目で支給されることが決まっています。
下表は、住宅の建て替え希望のお客様の光熱費と、松下孝建設の住宅に、お住まいの中でも、比較的高額の光熱費を使用している建て主様との比較です。(平均的には、月額6000円程度)生活によって多様な光熱費になりますが、その差は756万円もの差になります。
我々が出来る地球温暖化防止はこの様な省エネルギーを行うことではないでしょうか。
全館空調暖冷房の場合、1家庭(4〜6人)のオール電化住宅で、光熱費+平均的な生活電気を含めて1月が最高12,000円で、暖冷房が必要無い中間期は5,000円程度、月額平均8,000円、合計96,000円(松下孝建設の高額家庭)のシミュレーション(端数四捨五入)、その差が上表で、差額は35年で756万円という驚くべき数字になります。