九州住環境研究会

Vol.5 新エネルギー源と高効率機器の仕組み。シリーズ.1
 空気中の熱を利用するヒートポンプとは何か?

2009年08月29日更新

ヒートポンプの仕組み

エコキュートに採用されているヒートポンプは、冷蔵庫や高効率エアコンなど様々なものにも使われています。ヒートポンプの仕組みは、冷媒(二酸化炭素)を圧縮、凝縮、膨張、蒸発させることを繰り返し、大気中の熱を汲み上げて暖房・給湯を行い、逆に室内の熱を汲み上げて冷房を行います。暖房の場合は1+5=6の熱を室内に運び入れて暖房を行います。ヒートポンプを組み込んでいない従来のエアコンの場合の6倍の暖房効果があることになります。例えば、1Wの電気の力で1W分の働きをするのが従来の設備機器だとすると、ヒートポンプを利用した場合は、給湯や暖房で1+5=6倍の効果があります。冷房の場合も同じように1+5=6の室内熱を運び出しますから、同じように6倍の冷房効果があります。(COP6)このように、ヒートポンプを使い分けることで、給湯や冷暖房の両方を効率的に行うことが可能になります。ヒートポンプはまだまだ高い可能性のある仕組みです。

※電力1(COP1)…… 従来のエアコン
 電力1(COP1)+空気からの熱5=室内放熱6(COP6)…… ヒートポンプ式高効率エアコン

COP(エネルギー消費効率〈成績係数〉)について

未来型エネルギーや高効率設備機器のエネルギー消費効率を示すものがCOPです。COPは、JIS C 9612定格条件(定格冷房・定格暖房)時の消費電力1kw当たりの冷房・暖房能力を表しています。 JIS C 9612定格条件は、暖房時:外気温7℃時に室温20℃。冷房時:外気温35℃時に室温27℃(自動車の燃費では、時速60km定速走行時の燃費に相当)を条件にしています。簡単な計算方法は下記の通りです。

●家電量販店などでは、☆印で省エネルギー性能を表示しています。このような表示を目安に省エネルギー器機の購入を行ってください。

エコキュートの仕組み

「エコキュート」でお湯を沸かす仕組みは、ヒートポンプで暖房する仕組みを給湯に応用したものです。梅雨があり、熱帯降雨林並みの猛暑がある我が国では、全国的に例外なく毎日の入浴が習慣となっています。従って、最もエネルギーを使用するのが給湯という特殊な事情があります。我が国では、ヒートポンプを活用した効率の良い給湯器の開発が、国策プロジェクトとして主要設備機器メーカーの協力のもとで開発されてきました。そして、実用化されたのが「エコキュート」です。この「エコキュート」は、一般家庭の給湯エネルギーの1ヶ月分が2,000円以下という省エネルギー性能で、温度もまた90℃以上という高温の給湯を実現しています。イニシャルコストとランニングコストの比較でも、今までの電気式温水器とほぼ同等程度になり、本格的な普及段階に入っています。「エコキュート」は暖房などの応用面でも様々なものが考えられ、今後ますます進化するものと思われます。