九州住環境研究会

No.82 住生活基本計画・2025年?
10年後の未来を描いて、決断しなければならない時がきました。
消費税率10%への引き上げは、平成31年10月!

2017年1月6日更新


消費税が引き上げられる前の最後の決断。

消費税の引き上げが来年10月に近づき、来年の前半が住宅建築においては、最後の決断の時になります。昨年度には、我が国の住宅政策を決める「住生活基本法」が2006年の施行から10年の節目に改正されました。
変更点は「居住者からの視点」「住宅ストックからの視点」「産業・地域からの視点」の大きく三つの視点に分けられ、さらに下表の様に、細かく八つの目標に分類されています。
消費税と共に、住宅の性能も10年後の2025年を目指して建築されなければなりません。これから建てられる住宅は「住生活基本計画」に沿った住宅で無ければ、10年後には、価値のない住宅になってしまうからです。
以下、3つの目標に付いて解説致します。


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【居住者からの視点】

安倍政権が掲げた新三本の矢。「GDP・600兆円」「出生率1.8人」「介護離職ゼロ」に基づき、希望出生率1.8人を実現するために、結婚・出産 を希望する若年世帯・子育て世帯が望む住宅が選択・確保できる環境の整備。特に三世帯同居を促す施策については新たな取組であり注目されています。また、高齢者の住生活に関しては、現在65歳以上の高齢者のいる世帯は全世帯の4割を超え、中でもその半数以上が一人暮らし又は夫婦のみの世帯となっています。そうした中で、高齢者住宅単体としての住生活の検討ではなく、医療・介護・福祉 さらに生活支援などと連携した地域包括的なシステム構築が重要です。

【住宅ストックからの視点】

ここでは、「住宅すごろく」と呼ばれてきた、家を購入することがゴールであった時代の住宅サイクルから、「住宅循環型システム」への移行を挙げています。これまでのように、購入自体が目標である時代においては、住宅を資産として捉える意識が薄く、その価値を維持向上させるという視点がない為に、「スクラップ&ビルド」の市場から「ストック&フロー」の市場へ移行し、より良いものを提供し長く住まう。そして次の世代へ継承も可能な「循環型社会」に合致した住宅が求められます。また、耐震性の満たさない建物について、その耐震補強の可能性の判断も重要となります。耐震性能を満たすことのできない建物の除却の推進は、空き家問題の解決という点においても必要不可欠です。

【産業・地域からの視点】

人口減少社会において、限界集落や消滅可能性都市といった地域経済の衰退は大きな問題です。地域の活力を維持し、医療や福祉・商業といった生活機能の維持は高齢化社会において安心して暮らすために重要な課題といえます。

「新築」から「既存住宅」へ

「住生活基本計画」の新たな10年計画では「新築」の目標は「長期優良住宅」「住宅性能表示」「省エネ住宅」で2020年の省エネ基準の義務化を見据えています。その他はすべて「既存住宅」に関するもので、住宅政策の中心が「新築」から「既存住宅」へと移行していきます。これから建てられる住宅は、20年程度で建て替えられる住宅ではありません。少なくとも100年の寿命が求められます。そのために求められているのが 「良質な住宅の供給」「適切な維持管理の促進」「不良な住宅の除却・建替え」「利活用可能な空き家の活用促進」という既存住宅の活かし方の分類です。
住み替えや買い換えが可能な価値のある住宅の建築を促し、住宅の流通促進 やリノベーション等の質の向上といった建築の新分野の発展が求められいます。日本の住宅も、長寿命と共に快適性を確保できれば、新築の流通から価値のある中古住宅の時代になります。そのターゲットになる住宅こそ、今建てられる住宅で無ければなりません。
住宅の経年変化が価値となる住宅こそ、松下孝建設が目指している住宅建築です。新築のご計画中ならば、是非一度、松下孝建設にご相談ください。