九州住環境研究会

長寿命

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NEB「ノン・エナジー・ベネフィット」とは何か?
長寿命の住宅

寿命が長い住宅は結露が発生しない住宅です。
今から20年以上前に建てられた住宅は、ほとんどの住宅で結露が発生しています。結露は冬だけに発生しているのではなく、気が付かないだけで実は夏も発生しています。この結露が住宅の寿命を短命にしている原因です。 長寿命住宅を造る為には、この結露をほぼ完全にシャットアウトしなければなりません。

その① 断熱材の選定

現在ではグラスウールも撥水グラスウール等が登場して繊維系の断熱材でも結露は防げる様になりましたが、断熱材には結露しなくても断熱性能が低い断熱材を使用すると、壁の中や押し入れなどに低温域が出来、結露はしないまでもカビが発生する危険があります。

その② 窓の性能

壁の断熱は合格しても従来のアルミサッシ窓は、壁の1/3も断熱性能がありませんでした。隙間風は防止できても窓の性能が悪いと窓が集中的に結露の受け皿になってしまいます。

その③ 暖房器具の選定

石油やガスの暖房器具は、燃料以上の水分を室内にまき散らします。1ℓの石油は1ℓ+αの水分を発生させるのです。これをストップさせることが高性能住宅の歴史だと言っても過言ではありません。

【ハイブリッド・エコ・ハートQ】は「ゼロ・エネルギー・ハウス」として開発されています。究極的には無暖房住宅ですが無暖房は実現できても無冷房は実現できませんので、冬季も夏季もエアコン1台程度で暖冷房が可能なように設計されています。よほど無理な暮らし方をしなければ結露の発生は有りません。長寿命で省エネの秘密はエアコン暖冷房とこの無結露が大きな力になっています。

住宅に価値があれば住宅は故郷になります。

国土交通省の調べで現在、756万戸もの放置空き家が社会問題になっています。本来、住宅は自分が育った故郷そのものです。でも住宅に価値が無くなれば、住宅と共に大切な故郷は捨てられてしまいます。
逆に価値があれば、都会に出て行った子供達は故郷の親の家に再び帰ってこられます。住宅を造ると言うことは子供達が再び帰ってこられる故郷を造ることです。
放置空き家は、子供達が定年退職して故郷に帰りたくとも帰ってこられない住宅です。平均寿命が長くなった現代では定年退職して故郷に帰っても退職金で親と住む住宅を建て、親の面倒を見ることは自分の老後資金もなくなり共倒れです。親の家が高性能住宅であれば退職金は老後資金として丸々残ります。住宅の性能はこうした長いスパンで考えなければならない問題です。放置空き家は捨てるに捨てられない子供達の優しい心情を写しているようで、もの悲しい感じがします。
住宅に価値があれば子供達は必ず親が居る「家という故郷」に帰って来ます。

寿命の長い安心住宅、その定義は・・・

我が国でも欧米のように200年の寿命を持つ住宅が求められるようになりました。長命な住宅は私達に計り知れない恩恵をもたらしてくれます。今までのような30年未満で役割を終える住宅ではCO2の排出量が大きく、地球環境にも悪影響を与え続けてまいりました。これからの住宅は、エアコン1台程度のエネルギーで夏も冬も快適な住環境を提供するものでなければなりません。そして太陽光発電などの創エネ設備で、エネルギーを自活できる住宅でなければなりません。
【ハイブリッド・エコ・ハートQ】は、住宅技術は北から学ぶべきものという常識をくつがえし、期間蒸暑地域の南九州の住宅として、日本の夏の暑さ対策技術を南から発信することに初めて成功し、全国的に評価されています。高性能住宅とは省エネルギー性能だけでも長寿命だけでも不十分です。
これからの住宅は省エネルギー技術は当たり前で、家族の健康を守るという重要な役割を求められています。それを科学的に可能にすることが本物の高性能住宅の役割です。

高温の暖房で床・壁・天井を温める輻射暖房

20年以上前に建てられた住宅は、現在も石油ストーブなどで汗が出るほど暖房しています。これは放射熱(輻射熱)暖房で、いくら高温で暖房しても壁・床・天井は14℃にしかなりません。断熱不良の周囲からは冷輻射が発生して、高温の暖房熱の刺激的な熱さがないと、暖かさは感じられません。表面だけ暖かくても背中は冷たいままです。断熱不良の場合は、いかに高温で暖房しても壁・床・天井から漏気して、住宅全体が暖まることはありません。リビングなどの個室暖房が主になり、トイレや風呂などの無暖房室との温度差も大きく、この温度差が浴室やトイレでの死亡原因となっていました。しかも大量のエネルギーを消費し、この様な住宅ではエアコン暖冷房など夢のまた夢、家族を守る為の住宅が病気の原因を作っていました。

●夏期日射取得係数(μ値)の計算式

体感温度で判断できる住宅の快適性

体感温度は周囲の放射(輻射)熱によって左右されます。例えば、図-1の断熱性能が悪い住宅では、体感温度22℃を確保するためには、寒暖計の温度が30℃になるまで暖房しても、断熱不良の窓や壁・床・天井から室内の熱が外部に漏気し、壁の表面温度は14℃にしかなりません。外気の影響を受けている壁・床・天井の冷輻射熱を防ぐために、800℃もの高温の暖房が必要となり、暖房経費がかさむ原因となっていました。さらに直射熱(輻射熱)は正面にしか働かない為、暖房器の熱源から離れると寒いので、暖房器具にかじりついて暖を得ようとして、運動不足になってしまいます。
断熱性能を高めていくと、不快な冷放射(冷輻射)を防げるので、室内全体に温度差がなくなり、寒暖計の温度と差がない体感温度が実現します。
外気の影響を受けない段階まで断熱性能を高めた住宅が「高断熱住宅」です。

省エネルギーの秘密は「低温空調暖冷房」

我が国では一時期、我慢による省エネルギーで脳血管疾患や心臓病などの成人病が多発し、住宅の高断熱化が急務とされ、それに付随する暖冷房設備の開発が官民一体の国策として行われてきました。その最大の成果がヒートポンプ技術で、「エコ・キュート」や「ヒートポンプ・エアコン」による暖冷房で、世界に誇れる省エネルギーを実現させました。また、ヒートポンプ技術を最大限に生かせる、住宅の開発も行われ、その結果、我が国の住宅は、寒冷地、温暖地域を問わない、世界に類のない「高性能住宅」を実現させました。エアコンによる低温空調暖冷房は、暖房エネルギーを欧米の1/4以下にまで削減可能にし、しかも同じ設備で冷房も可能な優れもので、近年では温暖化の為にヨーロッパを始め世界各国に輸出されています。

省エネ基準と暖房温度