九州住環境研究会

No.80 温暖化対策「パリ協定」とZEH(ゼッチ)の現状。
子供は親を心配し、親は子世代を心配している、でも同居は嫌、それなら近居はどうですか?
親世代も子世代も求めている安心・充実の為の「近居」生活。

2016年10月31日更新


国際社会から問われる日本の対応と遅れ。

京都議定書以来、地球温暖化対策に取り組んで来た我が国は、「パリ協定」について、未だに締約できず来月、アフリカで締約国会合が開かれ、協定の詳しいルール作りなどが話し合われる見通しの中で、国連が示した締約の締め切りに間に合わず、締約国として参加できないことになりました。「パリ協定」は、温室効果ガスの世界最大の排出国の中国やそれに次ぐアメリカのほか、ヨーロッパの主要国が予定を前倒しして締約しているため、日本の締約を待たずに、来月4日に発効することが決まっており、日本の対応の遅れが問題になっています。

国際的な発言力の低下を懸念する声?

来月7日からモロッコで始まる国際会議「COP22」では、初めての締約国会合が開かれ、協定の詳しいルール作りなどが話し合われる見通しですが、日本は締結の承認を求める議案が10月19日参議院本会議で審議入りしていますが、締約には至っていません。このため国連の事務局が19日までと定めた締約の締め切りに間に合わず、日本は締約国として参加できないことになり、会合の決定に異議の申し立てができない「オブザーバー」参加になりました。
政府は主要なルール作りの場で日本の立場を主張してきたので、交渉での実質的な影響はないとしていますが、専門家からは国際的な発言力の低下を懸念する声が挙がっています。
温暖化対策の国際交渉に詳しい専門家は「主要国が締約を急いだ背景には、パリ協定が世界の経済活動を左右する重要な問題だという認識があり、締約が遅れた日本は、主要国の認識からかけ離れていると見なされ、外交上の存在感が低下するおそれもある」と指摘しています。
パリ協定が採択され、東日本大震災以来、原子力発電がほとんど停止している我が国では、増え続ける家庭からの温暖化ガスの削減に向けて、政府は、本年5月、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を2020年までに本格的に普及させる方針を打ち出しましたが、どの様な仕組みでゼロ・エネルギーを実現させるのか、その仕組みについて解説してみたいと思います。

日本の温暖化対策の切り札、ZEH(ゼッチ)とは?

ZEHのイメージは、屋根に太陽光発電を搭載して、居間にある家庭用エネルギー管理システム(HEMS=ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)の端末やスマートフォンで発電量を確認でき、効率的に発電・給湯する燃料電池(エネファーム)等を備えて、削減できたエネルギーが一次エネルギー(灯油)換算で00リットルなどとパネルに表示されます。
断熱性能の高い複層ガラスのサッシから太陽光が差し込み、照明は全てLED(発光ダイオード)で壁や屋根・床は高性能断熱材で高断熱化され、暖冷房は、ヒートポンプエアコンで行われます。住宅の高断熱性能で夏も冬も、暖冷房に過度に頼る必要は無く、それでも快適な省エネ住宅と言うことになり、太陽光発電やエネファームで発電した余剰電力は、売電に回すという、実質的に自宅で造ったエネルギー量以外のエネルギーを使わない住宅を「ゼロ・エネルギー・ハウス」と言います。
要約すれば、住宅の気密性能や断熱性能を高めることで、暖冷房や換気、給湯設備を効率化し、エネルギー消費を通常の20%以上削減、それにプラスして太陽光発電やエネファーム、風力、水力等の再生エネルギー設備を導入し、エネルギー消費量を正味ゼロかマイナスに出来る住宅ということです。

消費税引き上げ前の最後のチャンスを活かす。

消費税の引き上げの延長で来年までは、8%の消費税で建築できますが、金利もこれからは上昇していきます。10%の消費税率は、決して少なくはありません。高額な資金を必要とする住宅は、かなり負担が増えます。せめて、消費税や金利が再上昇する前に、住宅建築を考えてはいかがでしょうか?
現在のような金利状況は、異常な状態です。安倍政権が2%のインフレターゲットを設定して、日本経済を動かそうとしていますが、更に物価が上昇していく中で、住宅建設に資金を回すことは非常に困難です。低金利時代の今こそ最後のチャンスなのかも知れません。
消費税引き上げ前の駆け込みに間に合うならば、最大の幸運なのかも知れません。この様な時代は、二度と来ないと思った方が良さそうです。

建てるなら、高性能住宅を建ててください。

住宅の建て方にも注意を払ってください。
低金利を活用して、高性能住宅を建ててください。本年は、ZEH(ゼッチ)元年と言われています。ZEHとは、国が推進するゼロ・エネルギー・ハウスの事です。ZEHには、【ネット・ゼロ・エネルギーハウス】と【ゼロ・エネルギー・ハウス】の2種類があります。ネット・ゼロ・エネルギーハウスとは、太陽光発電などの創エネルギー設備を多く搭載して、主に住宅で使用するエネルギーを0%にする住宅です。
また、【ネアリー・ゼロ・エネルギーハウス】という考え方もあり、ネット・ゼロエネルギー・ハウスのように、全量を太陽光発電などの創エネルギー設備で賄えなくても、それに近い住宅性能と言うことになります。
これが、経済産業省の求めているネット・ゼロ・エネルギーハウスですが、本来のZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)は、住宅性能で温熱環境のエネルギーを賄う住宅の事です。
従って、本来のゼロ・エネルギー・ハウスの場合は、太陽光発電を搭載しても、少量の太陽光発電で住宅全体の光熱費が賄えます。最低限の設備で快適な住宅を建ててください。

多少高くついても確実に10年で元が取れます。

住宅を高性能にするためには、使用する素材もまた高性能なものを採用する必要があります。必要のないものを設備する必要はありませんから、断熱性能と気密性能、開口部性能だけは、最高の素材を選択してください。
更に耐久性や耐震性にも気配りが必要です。
松下孝建設の住宅は、エアコン一台で、夏も冬も快適です。その秘密こそ、高性能素材を適材適所に配置しているからです。
何かが他社とは違います。その違いに、低金利の資金を少し回してください。
住宅は今、確実に進化しています。特に日本の住宅は、世界的にも評価できる高性能住宅に変わりつつあります。住宅で造られる創エネルギーを住宅だけで使ってしまう住宅は、未来的な住宅とは言えません。住宅で造ったエネルギーは、車の燃料や地域の電力供給など様々なインフラにも使用出来なければなりません。そうした未来的な予測が可能な夢のある住宅を松下孝建設と共に、お建てください。

ZEH(ゼロ・エネルギー住宅)を支える技術。

ZEHを支える技術で主に室外に設置されるものは、太陽光発電システム(二酸化炭素排出0のクリーン発電)、省エネ換気システム(空気の自然な流れを利用した24時間換気)、高効率給湯設備(少ないエネルギーでお湯を沸かす)、燃料電池(水素と酸素から発電し、生じる熱を給湯に利用)。 以上をコントロールするHEMS(家庭用エネルギー管理システム=家電などのエネルギー使用量を表示し、制御する事で省エネを目指す)。 住宅性能に関係するものは、高断熱窓(複層ガラスや樹脂サッシで暑さ寒さを防ぐ。設置する方位角によって日差しの透過率を変える)、LED照明(長寿命・優れた省エネ性能)、高断熱の壁・屋根・床(夏涼しく、冬暖かい温熱環境を維持)、高効率空調設備(エアコン=センサーなどを活用して快適さを維持しながら節電)。 以上がZEHを実現させる技術で、中でも住宅の躯体性能(断熱・気密性能)が重要になります。躯体制能が高くなれば、太陽光の発電量が少なくてもZEHが実現できます。

なぜ、家庭エネルギーの消費削減が重要なのか?

23年前の第一次石油危機以降、産業界のエネルギー消費は省エネ技術の進展で2割減っているのに対し、家庭用のエネルギー消費は逆に2倍に増えているからです。確かに家電の省エネ化も進んではいますが、一戸当たりの使用台数が増え、核家族化による世帯数の増加がエネルギー消費に拍車を掛けているのです。消費エネルギーの増加は、温暖化ガスの排出も増加させ、家庭からの二酸化炭素の排出は、1990年から約5割も増えています。原発事故以来、火力発電の稼働が増えたこともありますが、政府は、我が国の温暖化ガスの排出量を2030年には、2013年比で26%削減する目標を掲げており、達成には、家庭からの排出量を2013年比で約4割削減させる必要があります。 松下孝建設も「ZEHビルダー」登録を行っていますが、補助金を目当てに太陽光発電を大量に載せるよりも、住宅性能を高めて太陽光発電などの設備は自家消費が間に合う程度の発電設備の導入をお勧めしています。何故なら、売電は10年が目安で買い取り価格も低くなり、設備は更新が必要だからで、更新時に再び高額の設備の導入が必要になります。また、新しい技術が生まれている現在、最も重要なのは、どんな革新的な技術も直ぐに受け入れ可能な住宅本体の高性能技術です。躯体性能が悪ければ、再び30年で建て替えが必要な住宅になってしまうからです。