九州住環境研究会

No.219 地震保険にもいえる、転ばぬ先の杖。
経年住宅の場合ほど、地震保険の加入者が少なく、災害後の後処理が困難になる傾向があります。
火災保険は地震の時に、保険金が出ません。特約で地震保険をつけておくのが常識です!

2024年3月28日更新

火災保険には、地震に対する補償義務は、ほぼありません!

 一般的な火災保険には、自然災害や地震被害に対する補償が自動的に含まれているわけではありません。自然災害の場合は特約の有無、地震保険の場合は、追加オプションとして提供されます。その理由は、火災保険は主に火災による被害に対する補償を目的としており、火災に対するリスクを評価し、そのリスクに基づいて保険料を設定します。

火災保険は、銀行の融資条件に加入が明記されていますが、地震保険は任意の保健なので火災保険に上乗せして加入する事になります。古い住宅の場合は、地震保険に加入していない住宅が相当数あります。
火災保険の契約期間途中でも加入できますから地震が頻発する昨今、加入の検討をお奨めいたします。
地震保険は地震で家が倒壊したり家財の破損の他、津波などの被害や地震による火災の自宅焼失なども保険金の支払い対象になります。契約できる保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内と決まっており、建物は5000万円以内、家財は、1000万円が上限です。

火災保険の契約内容が建物に2000万円、家財の損害に1000万円という場合、地震保険は建物1000万円と家財500万円が上限になります。
保険金の支払いは、図・2の災害の状況によって変わりますが「全損」では契約金額の全額「大半損」では、契約金額の60%が「小半損」では30%と四段階に分類されて支払われます。
地震保険は被災後の生活を支える保険で、速やかな保険金の支払いが優先されます。

地震保険で家の再建は無理でも当面の生活の支えに。

地震保険は被災後の当面の生活を支える保険で、比較的に迅速な支払いが行われるので、現在では火災保険加入者の70%が加入しています。地震保険は、1964年の新潟地震を契機として1966年に制定された「地震保険に関する法律」に基づき、被災者の生活の安定に資することを目的として、国(政府)と損害保険会社が一体となって運営している保険です。 国も保険金を負担する仕組みで同一条件では、どこの会社と契約しても保険料は同じです。

大規模な地震の発生が予測されている関東や静岡県などの保険料は比較的に高く設定され、建物の構造などでも鉄骨やコンクリートの建物は保険料が安くなり、木造の建物は高くなります。東京都の場合は、木造住宅は保険金額100万円当たり年間保険料は4110円、鉄骨やコンクリートの場合は2750円が基本です。

国の予測も当てにならない地震対策に地震保険は必須。

地震保険は国の地震予測に基づいて、地域ごとに保険料が決まっていますが、熊本地震の時も今回の北陸地震も全く国の予想に反して発生しています。南海トラフも根拠が薄弱になり、むしろどこの地域でも大地震が発生する可能性が出てきており益々、加入が必要になっています。

地震保険にも民間による新しい流れが出てきています。それが図・3の地震保険の「上乗せ特約」です。災害時に受け取れる地震保険では、住宅の再建に、ほど遠いことから最大で、火災保険と同額まで補償が受けられるようにすることが目的でソニー損保では、地震保険の保険金額を火災保険の50%に設定した場合「上乗せ特約」がつけられます。損害の状況が全損や半損になる場合特約分の保険金が支払われます。

建物に対する保険金額が火災保険で1500万円なら通常の地震保険では最大750万円。その上で特約750万円を設定すれば全損の場合には1500万円支払われます。
図・3のケースでは、火災保険の建物1500万円、家財が500万円と設定します。地震保険を建物と家財ともに上限で契約すると保険料は年払いで約6万円、これには火災保険分も含まれています。特約で補償額を火災保険と同額まで増やすと保険料は約4万円増え全体では約10万円になります。

ネット損保だけでなく、大手の東京海上日動にも同じような特約商品があります。
このような地震保険に上乗せする商品は自宅の再建を強く望む場合や住宅ローンが高額な世帯の選択肢になります。ローンが多く残る自宅が被災した場合、新たな住まいの住居費も必要になる場合、再建負担が重くのしかかります。しかし負担も多くなるので貯蓄で備える方法もありますが、このような地震保険の「上乗せ特約」も選択肢の一つとして考えて頂ければ宜しいかと思います。住宅建築をお考えの方は、是非、松下孝建設にご相談ください。