九州住環境研究会

No.217 金利上昇時の長期金利と金融ルール。
長期間、続いてきた低金利の環境が代わり始め、住宅建築資金を借り入れる金融機関の選択も重要に。
低金利時代と金利の上昇時代では、現行の金利やシステムだけで金融機関を決められない?

2024年2月29日更新

バブル期以来の株高に沸く今、金利の上昇が間近に迫る!

昨今の株高の影響を受け日銀の景気判断もデフレから、インフレという見方に変わり、早ければ4月頃から金利の引き上げが始まるのではないかと予測されています。歴史的な低水準を続けてきた変動型住宅ローンにも金利上昇が迫っています。

住宅金融支援機構の直近の調査では、住宅ローン利用者の7割超が変動型を選択しているとのことです。
変動型は、通常、半年ごとに設定された基準日に金融機関が適用金利を見直すことになっており、基準日は4月1日と10月1日などで、その後、2〜3ヶ月後の返済分から新しい利率が適用されます。

図・1の一般的な変動型ローンの場合、金利が見直される度に、ローン残高などを基に毎月の返済額が変わります。
図・2のメガバンクや地方銀行の変動ローンは元利均等返済で元金と利息が毎月一定で変わりません。それは、毎月の返済を原則5年で見直す「5年ルール」が設定されているためです。
見直しまでの5年間は途中で金利が変わっても毎月の返済額は変わりません。5年後の返済額の見直し時に、新たな利率とローン残高、残期間で再計算し返済額の変更がおこなわれます。

毎月返済額を増やさなければならない場合は、25%増を上限とするというルールがあり「125%ルール」といいます。急ピッチに金利が上昇している時には、返済ができなくなる事態を避けるための措置ですが、このシステムには金利上昇時には、元金が減りにくくなるデメリットもあります。金利が上昇すると毎月の返済額は一定でも返済額に占める利息の割合が増えるために当然、返済期間が伸びる可能性もでてきます。

長期的な見通しで最適な融資を選択してください。

図・3は35年返済で4000万円を借りた場合のシミュレーションです。当初の金利を年0.4%とすると最初の見直しまでの5年間の毎月返済額は約10.2万円になります。1回目の返済は元金約8.5万円に利息が約1.3万円充てられました。その後、適用金利が、0.5%づつ4回上がり2.4%に金利が高止まりした時点では返済額10.2万円のうち7.7万円が利払いに充てられ元金返済は2.5万円しかありません。
5年ごとの毎月返済の見直し時に2.4%のままであれば、5年後の毎月返済額は14.6万円ですが「125%ルール」で12.8万円までしか増やせません。

借り主を守るルールですが、実際は金利の上昇時には、反映されなかった金額が次の5年後の見直し時に返済額に上乗せされることになります。
「5年・125%ルール」の2つのルールで元金の返済が遅れる結果、完済時には「同じ条件で借り入れしても、ルールがない一般的な変動型ローンと比較した場合でも100万円以上の利払いが増える場合もあるというシミュレーション結果もあります。

このように長期金利には、当初と最終局面で全く異なる意外な結果が出てくることもありますから注意が必要です。

「損得勘定」は当然のこと先を見据えて正しい選択。

金利の動向は、常に変更し一様ではありません。現在は、金利の上昇機運ですが、当然金利が下がることもあります。住宅ローンも「フラット35」などの住宅金融支援機構の定額支払いから、現行の金利による通常の変動型住宅ローンもあります。メガバンク・地銀の「5年・125%ルール」の変動型などがあります。

変動型で金利上昇時に利払いを増やしたくない場合には、繰り上げ返済が選択肢になります。また、借り入れ銀行との間で条件が合えば、途中で定額型の借り入れに変更も可能な場合もあります。

これから住宅をお建てになる場合は、金利動向にも目を向け、家族の幸せのためにも約35年間の長丁場を有利に乗り越えなければなりません。さらに住宅性能も高性能の時代を迎えています。金融から住宅性能の快適性まで全ての条件を満たすために、ぜひ、九州住環境研究会にご相談ください。