九州住環境研究会

No.211 住宅金融金利12年ぶりの高水準に。
ついに上昇し始めたメガバンクの固定金利、12月以降さらに上昇傾向が続いています。
住宅金融支援機構は来年2月から「フラット35」の金利を子供の人数に応じて引き下げを発表。

2023年11月28日更新

子供が多い世帯のフラット35最大1%金利引き下げを発表。

住宅金融支援機構は、来年2月から住宅ローン「フラット35の金利を子供の人数に応じて引き下げる」と発表しました。 「フラット35」は独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関の提携により融資する仕組みで、政府は23年度の補正予算案をすでに閣議で決定し、金利の引き下げに必要な経費として13億円を計上しています。

支援内容は18歳未満の子供が1人いる世帯では金利を当初5年間、年 0.25% 引き下げます。対象となる年齢の子供が4人の場合、最大1%の下げ幅となり、5人以上であれば引き下げ期間が延びる仕組みになっています。子供がいない場合も年齢で割引が受けられます。

若い世代の住宅取得の負担軽減を目指すもので、2024年2月からの運用開始を予定しています。子供がいなくても夫婦のどちらかが40歳未満であれば引き下げ対象になります。

3メガバンクが固定型住宅金利を揃って引き上げました。

10年固定型の基準金利の単純平均は 0.12% 上昇の 3.80% となり2011年以来12年ぶりの水準になっています。優遇後の金利でも 0.12% 高い 1.29% となり長期金利の上昇を反映しています。短期金利に連動する変動型との差が一段と拡大しています。

固定型ローンの金利は12月にさらに上昇との見方が高い。

日銀は長短金利操作の再修正を決めましたが、大手行の固定型ローンの金利は前月の中〜下旬の長期金利を元に決めるのが一般的で11月のローン金利に金利操作の再修正は反映されていません。その為、固定型ローンの金利は12月以降に更に上昇するとの見方が強いのです。

住宅ローン金利には、全期間固定型、当初10年間など一定期間の金利を固定する固定期間選択型、変動型の主に3種類あります。
固定型は、長期金利に、変動型は、短期金利に連動します。短期金利に連動する変動型は各行とも、基準となる金利を 2.475% に据え置き10年固定の最優遇金利で三菱UFGは、10月比 0.10% 高い 1.04%、三井住友銀行は 0.15% 高い 1.29% 、みずほ銀行は 0.10% 高い 1.55% になっています。
最優遇金利について三井住友信託銀行は 0.28% 高い 1.54% 、りそな銀行は 0.15% 高い 1.80% に設定しています。このように比較可能な3メガバンクの固定金利の優遇前の基準金利の平均は、11年7月の 3.82% 以来の水準になっています。

三井住友銀行、りそな銀行も基準金利は12年ぶりの水準になっています。
住宅ローン取扱額が多いauじぶん銀行は11月に、10年固定の最優遇金利を10月比 0.13% 高い 1.325% にし、変動の新規借り入れは 0.319% に据え置いています。

日銀は10月31日に長期金利の事実上の上限1%を一定程度超えることを容認する長短金利操作の再修正を決めています。

固定型ローンの金利は12月以降さらに上昇。

現在、長期金利は10年ぶりの高さになっており、固定型ローンの金利は12月以降に上昇する事が確実視されています。3メガバンクの固定型の住宅ローン金利は4ヵ月連続で引き上げられ、累計 0.4% 強に達しています。変動型と固定型の最優遇金利を比較するとそれぞれ 0.4% 、1.3% 程度で3倍超の差となっています。

住宅ローン比較サービスのモゲージチェックによると、「住宅ローンは変動型へのシフトが一段と進むとし、変動と固定の支払い差は3500万円のローンを支払う場合で月額2万円に達すると言うことで、固定型の契約を避ける動きが、さらに広がるのではないかと予測しています。

金融機関にとって住宅ローンは35年等、長期に渡って取引が見込める商品でもあり、インターネット銀行などの変動型ローン金利を優遇する動きも広がっています。auじぶん銀行がKDDIグループのサービスを利用すると最大 0.15% 適用金利を引き下げるなど、競争を激化させています。

三井住友銀行は10月に変動型の最優遇金利を6年ぶりに下げ、0.45% と9月に比較すると 0.07% 低い水準にし、りそな銀行も10月変動金利の最優遇金利を9月よりも 0.03% 低い 0.34% に設定しました。

米国では9割が「長期固定型ローン」を選択。

リーマンショックの原因となったサブプライムローンで痛い目を経験した米国では9割が長期固定型を選択しています。住宅金融支援機構は、我が国では、変動型を選択する割合が7割に昇り、現在の金利上昇の動きは固定型のみですから、金利上昇の影響は3割程度と見込んでいますが、将来的に日銀がマイナス金利の解除に向かえば、変動型の金利も当然、大きな影響を受けることになります。

現在の「変動型」から「長期固定型」に誘導している国の施策では、将来を見通した「長期固定型」か「変動型」かの決断が重要になります。
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