No.35 設備に頼る「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の問題点と松下が目指す高性能住宅。
補助金制度をクリアした住宅が本物の高性能といえるか?
高額補助金支給の問題点と住宅性能。

2012年10月25日更新


省エネ基準の数値では、まだまだ不十分です。

本年度から省エネルギー基準が変更になります。しかしその骨子は、1999年(平成11年)基準の「次世代省エネルギー基準」を読み替えるというもので、熱損失係数(Q値:床面積1m2当たり1時間に逃げる熱の量)の数値から、熱貫流率(U値:住宅の外周面積(外皮表面積)から1時間に逃げる熱の量)に変更になるとともに、各地域ごとに年間の一次エネルギーの消費量の基準数値を設け、それを1として、それよりも数値が少ない場合、省エネルギー基準を満たした住宅性能として認定するものです。エコポイントや各種の補助金によって、我が国の住宅の50%程度が高性能化されてきていることから、引き続き「次世代省エネルギー基準」程度の住宅を平準化するため「次世代省エネ基準」を読み替えて新基準にするようです。

ビルダーの建築主基準の方に多くの問題がある?

確かに中小工務店の場合は、省エネ施工技術が未熟な場合も見受けられますが、それよりも問題が大きいと思われるのは、年間200棟以上の施工を行う大手ビルダーに課せられている「建築主の判断基準」による性能評価です。この場合は、省エネ等級は、3等級(1992年平成4年・新省エネ基準)に、高効率エアコンやエコ・キュート等の省エネ設備機器の搭載で住宅性能を認めてきたわけですから、実際の住宅性能は実質的に、20年前の新省エネ基準のままですから、決して中小だけが遅れているというわけではなくむしろ、大手ビルダーの対応ができないから「次世代基準」の読み替えになったのではないのかと勘ぐりたくなります。

補助金350万円のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス。

経済産業省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」支援事業は、「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」の延長線にあるもので、経済産業省の外郭団体である「環境共創イニシアチブ」がメーカー等によって提案されたシステムを「特殊省エネシステム」として認定し、そのシステムの導入が条件となり、補助事業の実施に必要な空調、換気、給湯、照明器具、機械設置、建築材料等の購入費用が補助の対象になります。補助金額は、補助対象経費の2分の1以内(ただし、住宅1戸当たりの補助額は350万円)を上限とします。太陽光発電などの創エネ設備の導入が必須ですが燃料電池や蓄電池、太陽光発電等は補助対象にはなりません。応募の要件は、1・「住宅事業主の判断基準」の計算方法で評価対象の住宅の一次エネルギー消費量が正味(ネット)ゼロであること。2・一定の断熱性能を有すること、新築の場合は表・1の熱損失係数Q値以下であることと夏期日射取得係数μ値0.04以下であること。が条件になっています。確かにQ値もⅣ地域の次世代基準が2.4ですからⅡ地域基準のQ値1.9が要求されますから住宅性能も高くなりますが、この数字は、断熱材の量を多くすれば、計算値上は、クリアできる数値です。

コージェネ・スマートグリッドが地域電力の要に。

即戦力として家庭で使用可能なエネルギー源を述べてみましたが、その他にも小型風力発電や山間部では、小水力発電なども優れた設備が開発され始め、今後の有力な発電源になることと思われます。
更に木材チップや家畜の糞尿もバイオマス燃料として有力ですが、これを一般家庭向きにするためには、地域分散型発電が最も有力な手段になります。既にスマートグリッドビルやスマートグリッドタウンは始まっていますが、地域的な電力供給網であるスマートグリッドとコージェネシステムが合体した地域共同体型のコージェネ・スマートグリッドの時代になることが予測されます。
太陽光発電や小水力、小風力、バイオマスやエネファーム、エコウイルなど、地域で造られる様々な再生可能エネルギーを次世代電力網であるスマートグリッドで結んで、地域ごとに運用する小規模のコージェネ発電システムと結び、燃料電池等に余剰電力を蓄えて供給するシステムが、脱原発時代の再生エネルギー供給網になるのではないかと考えられます。
2020年からは、省エネルギー基準の義務化も開始されるように、地球環境を守るためにも、脱原発を推し進めるためにも、住宅性能が今までのようにザルのような、エネルギー垂れ流し状態の住宅では全く論外です。省エネルギーで暮らすことが可能な本格的なエネルギー自給自足住宅を是非、松下孝建設の展示場で体感してください。