九州住環境研究会

No.27 ゼロ・エネ・住宅とは何か?
「ゼロ・エネルギー・住宅」が国の目標に掲げられ、平成24年度から大幅な性能アップ。
税制面では、認定省エネ住宅に対するローン控除や贈与税の特例処置も検討されています。

2012年3月3日更新

「ゼロ・エネルギー・住宅」に大幅補助金の支給。

国交省は、地域工務店が建設する「ゼロ・エネルギー・住宅」に【最大165万円/戸】の補助金を予定しています。これは、昨年度から本年度までの「長期優良住宅促進事業」の「木の家整備促進事業」に対応する、住宅高性能化事業の延長線上にあるものです。
予算規模も23億1000万円が予算計上されており、ゼロ・エネルギー化に伴う掛かり増し費用(通常の一般住宅を建設する場合との比較増分)の半分を助成し、戸当たり補助上限額が、165万円となっています。現在、「ゼロ・エネルギー・住宅」の普及は、資金力があり開発能力の高い大手ハウスメーカーの主導で進んでいますが、木造住宅の半分以上を建てている地場工務店が「ゼロ・エネルギー・住宅」に取り組まなければ、日本の住宅は永遠に高性能化が望めません。
「ゼロ・エネルギー・住宅」の条件は、下図のように一般住宅のエネルギー消費量70~90GJを100%削減することですが、住宅の躯体構造と設計そのものからの削減率は、18%しかありません。実際には、この部分こそが本当の住宅性能の必要性能部分といえます。
「ゼロ・エネルギー・住宅」と似ていて、非なるものに「ネット・ゼロ・エネルギー・住宅」がありますが、国交省が目指す「ゼロ・エネルギー・住宅」とは、実際には、この「ネット・ゼロ・エネルギー・住宅」のことです。なぜ、似て非なるものかといいますと、本物の「ゼロ・エネルギー・住宅」を実現するためには、ハードルが非常に高いからです。
一棟一棟、こまめに性能にこだわることは、年間何万戸の規模で住宅を工場生産する大手ビルダーには不可能なことだからです。
北欧やドイツなどでは、新築住宅の着工は、年間10万戸程度でも多い方です。100年、200年の長寿命を誇る住宅をつ造る、というよりは守るというのが北欧・ヨーロッパの住宅造りの現状なのです。従って新築住宅の建設には、高い断熱・気密性能と15kWh/㎡程度の冷暖房付加という高いハードルが設けられています。それがドイツ式のパッシブハウスであったり、様々な「ゼロ・エネルギー・住宅」の実態です。
基本的な住宅性能が現在の「トップランナー基準」では、温熱環境等級3の「新省エネ基準(1992年)」ですから、欧米の住宅とは比較にならないほど低性能です。その代わりに高価な高性能設備機器の導入を義務づけたり、太陽光発電や燃料電池等の創エネ設備の導入が必要な住宅は、決して本来の高性能住宅とは言えないということも理解しておいて下さい。

松下孝建設の新展示場は、本物のゼロ・エネルギー。

松下孝建設が現在建設中の「ゼロ・エネルギー・住宅」は「ネット・ゼロ・エネルギー・住宅」ではないはない本物の「ゼロ・エネルギー・住宅」です。躯体と設計によって、省エネルギー効果100%を目指しています。さらに創エネ設備も搭載していますから、創エネの大部分を売電に回すことが可能です。現在でも、松下孝建設で太陽光発電を装備されたお施主様の多くが売電生活をされています。

「省エネルギー住宅」認定制度。

また、本年度から「省エネルギー住宅」の認定制度が始まります。住宅を性能別に評価するもので、その為の特典として高性能住宅と認定された住宅には、住宅購入時に親などから資金援助を受けた場合の贈与税の特例措置として、基礎控除(110万円)に上乗せできる1千万円の非課税枠を本年度末の期限を延長し「認定省エネルギー住宅」には、更に500万円プラスして1500万円に拡充されます。
「フラット35」の場合は、省エネルギー性能に優れた認定住宅は「フラット35Sエコ」とし、従来の耐震性、可変性、耐久性、バリアフリー性等、いずれかの性能が優れている場合は「フラット35Sベーシック」というように分けられます。
2020年の高性能住宅義務化に向けて、ソフトランディングを計るために様々な施策が講じられています。これから住宅を建てる場合には、是非、「省エネルギー認定住宅」であるかどうかを選択の基準にしてください。新築すればどんな住宅も同じではありません。税制面も補助金等も全く異なります。