九州住環境研究会

No.26 「ゼロ・エネ・ハウス」と用語。
高性能時代を迎えた住宅システムの進化に注目してください。

2012年1月24日更新

「スマートグリッド」という考え方。

昨年の3月11日の大震災以来、横文字解説が増えて参りました。新しい住宅思想を語るためには、この横文字を克服しないと前に進めないようですから,今回は、ひんしゅくを覚悟で横文字の解説を行いたいと思います。
まず、スマートグリッドと言う言葉を解説してみましょう。スマートグリッドとは、現在の系統電力(九州電力等の既存電力)の枠にとらわれず、新しい地域開発の手段として、スマートシティやスマートタウンを開発し、そのエネルギー源を例えば、ガスタービン発電などを中央に据えて、家庭では、再生可能エネルギーである、太陽光発電やエネファーム等の燃料電池で賄い、系統電力から切り離した双方向の電力を融通しあって地域で使用するというものです。この様な考え方は、脱原発や二酸化炭素の削減、炭素燃料支配から、脱却できる方法として考えられており、次世代送電網(スマートグリッドと呼ばれています。)スマートグリッドの普及が意味するところは、例えば、山間部の村などが、送電線に頼らなくても、水車や風車などの自然エネルギーで発電を行い蓄電池で蓄電し、各自の屋根に取り付けた太陽光発電や近くの小川で独自に発電した水力発電の電力を地域で融通しあうという方式です。

EMSとは、どんなことなのか?

地域発電所の役割を工場などが担う場合もあります。スマートグリッド(次世代送電網)と情報通信技術(ICT)を活用して地域の電力をマネージメントするのがEMS(エネルギー・マネージメント・システム)と呼ばれるシステムです。この場合、スマートグリッドの末端に位置するのが、一般家庭で、太陽光発電などの発電装置を装備し、情報通信技術の端末が装備された住宅をスマートハウスと呼びます。スマートハウスでは、各家庭のエネルギー使用状況が詳細にコンピュータ管理されて、スマートグリッド内の電力事情が集積管理され、最適制御でたりない部分は、地域発電所で発電供給することになります。

エネルギーの消費量を「見える化」して管理する?

スマートグリッドは、現状の系統電力や再生可能エネルギーも取り込み、需要関係の全てを一元管理し、発送電の効率化を図り、地域ぐるみで省エネ効果を生みます。一般家庭のスマートハウスでは、パソコンやモバイル端末から自宅のエネルギー使用状況や蓄電状況が確認できます。入出力電力が各種センサーやスマートタップによって情報収集装置に集められ、それを情報端末のスマートフォンなどで確認できるわけです。この様に電力の「見える化」によって、無駄な電力の使用が抑制されると共に、省エネ意識が高まるばかりか、創エネ、築エネ意識も高まります。その家庭用の中核技術がHEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)と言うことになります。

省エネ管理が進んでも、最も重要なのは、住宅の性能。

家庭の中に先端技術が入り、遠隔管理も自由に出来る時代になって参りますが、どんなにエネルギーを造りだしても、住宅性能が悪ければ、エネルギー消費はそれだけ増えてしまいます。最も重要なのは、やはり住宅性能です。それは、政府も認識づみで、長期優良住宅など、住宅寿命を出来るだけ長く保つ、住宅の施工を奨励していますが、現実的には、まだまだ、高性能住宅と呼ぶに相応しい住宅は、そんなに多くないのが現状です。そのために、来年度の後半から住宅性能表示制度が開始され、住宅の性能に合わせてラベルを貼る、住宅ラベリング制度も開始されます。昨今のEV(電気自動車)の進歩で、家庭用蓄電池の開発も既に実用段階に入っています。また、蓄電池の替わりにEVを活用する等の方法も、実用化段階に入っています。

「松下孝建設」の「ゼロ・エネ・ハウス」への取り組み。

松下孝建設では、昨年暮れから、新展示場「ゼロ・エネルギー・ハウス」の建設に取りかかっています。この展示場の目的は、南国におけるゼロ・エネルギー・ハウス」であると共に、住宅を科学的にコントロールできるスマートハウスを意識した展示場です。自活エネルギー住宅を考慮し、住宅のスペックについては、近畿大学建築学部の岩前教授のご指導の元に、太陽光発電の搭載と共に、EV(電気自動車)の充電システムなども併設して、松下孝建設独自のスマートハウスを目指しています。目標は、「ゼロ・エネルギー・ハウス」ですが、補助冷暖房も2.5kW/h程度のエアコン一台で全館の冷暖房が可能な超省エネルギー住宅です。現在、構造建設中ですが、興味のある方は、是非、弊社までご連絡ください。高性能断熱材の三層構造、トリプルガラスサッシなど、今までの住宅建築では、見られない高性能住宅の世界にご案内申し上げます。