No.20 地震保険
地震保険は国が関わる特殊な保険

2011年04月20日更新

地震保険とは?

地震や津波、火山の噴火が原因で、住宅や家具などが壊れたり、流失・焼失した場合の損害を補償する特殊な保険が地震保険です。新燃岳や桜島のある鹿児島ではおなじみの保険のはずですが、加入者は意外と少ないのが現状です。地震保険の補償額には上限があり、住宅は5,000万円、家財は1,000万円。住宅や家財の壊れ度合いによって支払われる保険金が変わります。自家用車や30万円を超える貴金属・宝石類、有価証券などは原則、補償の対象外になります。確かに補償内容は魅力的ではありませんが、今回のような大震災は、予測できません。

地震保険の仕組みは、国が補償に大きく係わること。

大地震が起きると、民間の損害保険会社だけでは負担しきれない巨額の保険金支払いが生じる可能性があります。そのため国が支払いに大きくかかわる形で、地震災害専門の保険をつくっているのです。地震保険は総額で最大5.5兆円まで保証するようになっています。地震の被害規模が大きくなるにつれて、保険会社の支払いよりも、国が支払う割合が増える仕組みになっています。今回の東日本大震災に伴う保険金支払額は、過去最大になる見通しで、一説には7兆円とも言われています。東電の補償を含めると、保険会社が全て潰れてしまうほどの災害なのです。

加入する特別な条件?

地震保険は単独では契約できません。火災保険とセットでしか加入できない仕組みです。火災保険では、自然災害は免責事項になっているので、地震保険に加入していない場合は、今回のような地震や津波に際する損害も、普通の火災保険だけの加入では、全く補償されません。今まで、地震保険に加入していなくても、これから地震保険に追加加入する事も出来ますし、一年ごとに契約し直す事も可能です。

地域によって違う支払額。

お住まいの地域や住宅の造りによって違います。例えば、鉄骨造りで1,000万円まで補償する契約だと、鹿児島では年間5,000円、木造で10,000円と全国的に見ても最低クラスです。今回被害の大きかった宮城県は非木造が6,500円、木造が12,700円と大地震が起きる危険性が高いとされたり、発生した際の被害が大きいと予想されたりする地域は保険料が高めになっています。保険料については、下記で主な地域の保険料を紹介しています。地震保険の国の管轄官庁は、財務省が管轄しています。次に財務省が公表している地震保険についての概要をご紹介致します。

財務省が発表している地震保険の概要。

地震保険の補償内容。

保険金の支払。

  建物・家財
全 損 ご契約金額の100%
(時価が限度)
半 損 ご契約金額の50%
(時価の50%が限度)
一部損 ご契約金額の5%
(時価の5%が限度)
 

全損・半損・一部損の基準。

損害金額の支払いについては、建物と家財について、全損・半損・一部損に応じて支払われます。建物と家財の損害基準は、下の表の通りです。建物の場合は、全損で時価の50%の損害、消失の場合は、延べ床面積の70%以上となっています。家財の場合は、全損で時価の80%以上が全損と認定されます。半損・一部損についても記載内容の通りですが、保険金を支払わない条件として、次の条件が挙げられています。

  建 物 の 基 準 内 容
全 損 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の50%以上である損害、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上である損害
半 損 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の20%以上50%未満である損害、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満である損害
一部損 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価の3%以上20%未満である損害、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け損害が生じた場合で、全損・半損に至らないとき
  家 財 の 基 準 内 容
全 損 地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の80%以上である損害
半 損 地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の30%以上80%未満である損害
一部損 地震等により損害を受け、損害額がその家財の時価の10%以上30%未満である損害
※「主要構造部」
建築基準法施工例第1条第3号(構造耐力上主要な部分) 基礎、基礎杭、壁、柱、小屋組み、土台、斜材(筋交い、片づえ、火打材、その他これらに類するもの)、床版、屋根版、横架材(はり、けた、その他これらに類するもの)、で建築物の自重もしくは積載荷重、積雪、風圧、土圧もしくは水圧または地震、その他の振動もしくは衝撃を支えるものをいう。

保険金が支払われない場合。

この様に、地震の際の紛失や盗難の場合にも保険金が支払われないことに留意しておかれる必要があります。今回の津波などの被害の場合は、特例処置も考えられるようですが、通常の場合は、紛失や盗難に合わないような現場の管理が必用になります。次に地震保険は、保険料が高いと言われますが、その保険料についてお知らせ致します。

地震保険の保険料。

地震保険の保険料は、保険対象である建物および家財を収容する建物の構造、所在地により算出されます。つまり、地域によって保険料が異なります。特に今後大地震が予測されて被害が出そうな地域は、保険料が高額になっています。下表に主な地域の保険料の比較を記載します。保険期間は短期で、1年および長期(2年~5年)です。詳しくは、各損害保険会社の相談窓口または、代理店にご相談ください。

保険金額1,000万円あたりの保険期間1年
(単位:円)
都道府県 非木造 木 造
北海道 6,500 12,700
青森県 6,500 12,700
岩手県 5,000 10,000
宮城県 6,500 12,700
福島県 5,000 10,000
栃木県 5,000 10,000
千葉県 16,900 30,600
埼玉県 10,500 18,800
東京都 16,900 31,300
静岡県 16,900 31,300
愛知県 16,900 30,600
三重県 16,900 30,600
大阪府 10,500 18,800
兵庫県 6,500 12,700
和歌山県 16,900 30,600
福岡県 5,000 10,000
熊本県 5,000 10,000
宮崎県 6,500 12,700
鹿児島県 5,000 10,000
沖縄県 6,500 12,700

上記のように新燃岳の噴火があっても、比較的に耐震性の高い鹿児島の地震保険の保険料は全国最低クラスです。ただ、今回の被災地域の岩手県や福島・栃木県なども、同じレベルであることから考えれば、地震保険の重要性は理解できる事と思います。

地震保険の割引制度。

地震保険の割引制度として、「建築年割引」と「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」の4種類が設けられており、建築年または耐震性能により10%~30%の割引が適用されます(重複不可)。詳しい内容については、地震保険の保険料から、長期の割引料など、各損害保険会社の相談窓口、または代理店にご相談してください。

割引制度 割引の説明 保険料の割引率
建築年割引
(ご契約開始日が平成13年10月1日以降)
対象建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合 10%
耐震等級割引
(ご契約開始日が平成13年10月1日以降)
対象建物が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級 (構造躯体の倒壊等防止) の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合 耐震等級1 10%
耐震等級2 20%
耐震等級3 30%
免震建築物割引
(ご契約開始日が平成19年10月1日以降)
対象物件が、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「免震建築物」である場合 30%
耐震診断割引
(ご契約開始日が平成19年10月1日以降)
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 10%

地震保険料所得控除制度。

平成19年1月より、地震災害による損失への備えに係る国民の自助努力を支援するため、従来の損害保険料控除が改組され、地震保険料控除が創設されました。これにより、所得税(国税)が最高50,000円、住民税(地方税)が最高25,000円を総所得金額等から控除できるようになりました。しかし、控除制度が整っても、まだまだ地震保険への加入者は少ないのが現状です。1995年の阪神・淡路大震災以降、着実に増えてはいますが、2009年度の契約件数は1227万件で、1995年度の518万件の2倍以上になってはいるものの「保険料が割高」との声もあり、2009年度の世帯加入率は23%にとどまっているのが現状です。今回の東日本大震災の被災地の加入率は、宮城県が33%と全国平均を上回る一方、他地域では青森15%、岩手12%、福島14%など平均を大きく下回っているのが現状です。予測されている関東大震災を考えれば、せめて全国平均を上回る程度の加入率は必要なのではないかと考えられます。

地震保険と政府の再保険。

今回の東日本大地震も、災害は忘れた頃にやってくると言う言葉通りに、およそ百年の周期で津波を伴う大地震が発生したわけですが、過去の津波とは比較に出来ないほど大きな津波は、千年に一度の規模だったことも分かってきました。鹿児島県は、桜島という世界有数の活火山を抱え、この度は新燃岳という休火山までもが活発な活動を再開しています。桜島もまた、およそ百年前には、大噴火を起こして、甚大な被害を記録されています。数年前から活発化している桜島の活動と新燃岳の新たな活動は、鹿児島に住む我々に、何かしら得体の知れない不気味さを感じさせています。

地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任を政府が再保険し、再保険料の受入れ、管理・運用のほか、民間のみでは対応できない巨大地震発生の際には、再保険金の支払いを行うために地震再保険特別会計において区分経理をしています。今回のような未曾有の大震災に対しては、民間保険会社の支払い能力を遙かに超えてしまうために、政府が再保険で補償しているわけです。総額7兆円にも及ぶと言われ、東京電力の補償金額を入れると中小国の国家予算を遙かにしのぐ大災害ですから、国の関与なくしては、補償し切れません。この災害を教訓にして是非、地震保険の加入をお勧め致します。