九州住環境研究会

No.189 温暖化の原因が「異常気象」で決着した!
コンピュターの計算速度の飛躍的な進化で地球温暖化と否温暖化が確認できるようになった。
エジプトで開催された「第27回 国連気候変動枠組み条約締結国会議」(COP27)終了!

2022年12月27日更新

エジプトで開催されたCOP27で異常気象の原因に決着がつく。

長い間、地球は温暖化しているのか?異常気象は温暖化のせいなのかという論争がありました。アメリカのトランプ前大統領のように、地球温暖化を疑問視する人々に対し、COP27では「異常気象は温暖化のせい」であるとコンピュータの飛躍的な速度アップを元に表の「イベント・アトリビューション」という手法によって科学的に決着がついたことも報告されています。

WMO(世界気象機関)は報告書で2015〜22年が観測史上最も気温が高い8年間になるとの分析結果を示し世界の海面上昇幅も過去最高と公表、南米では数年前から干ばつで水力発電が機能しなくなり、アマゾンを抱えるブラジルでも水力発電が使用不能で電力は石炭火力に変更しています。電力だけではなく、農業にも水不足は深刻な影響を与えています。

「異常気象は新たな日常」と世界気象機関の事務局長が述べるとともに、グテレス国連事務総長も「私たちは気候変動地獄へと向かう高速道路をアクセルを踏んだままで走っていると」温暖化被害国に対し、対応を求めた。コンピュータの発達が科学の視点を持ちこみ、COPやG20のような国際会議に影響を与えているにもかかわらず、世界の動きは「化石燃料の段階的な削減」や「先進国の支援が必要」など経済大国の中国や重要なスタンスのインドなどの対応が鈍いようです。

新手法の研究で異常気象は温暖化で起こりやすくなる、を解明。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が21年に公表した「人為的な温暖化を疑う余地がない」と断言する背景も新手法による研究で、本年6月下旬〜7月初めに記録した日本各地の記録的な高温は温暖化によって発生確率が240倍に高まっていたと気象庁気象研究所などが発表しています。6月の想定外の猛暑は電力の需給逼迫の大きな要因になっていました。

国際研究チームは、7月に記録したイギリスの最高気温40度を越す熱波は温暖化で少なくとも10倍起こりやすくなっていたこと、また20年以降、オストラリアや米国カリフォルニア州の山火事も温暖化が原因であることが報告されています。

なぜ、温暖化は容認されずに、いつまでも誤解され続けるのか?

 温暖化の議論は、熱波や豪雨が発生しても人為的な原因なのか、ただの偶然起こった自然現象なのか判断が難しく、アメリカのトランプ大統領は、温暖化はフェイクニュースだとパリ協定を脱会してしまいました。

30年前はこんなに異常気象が騒がれることはありませんでした。最近は大人であれば、子供時代と比較して「何かがおかしい」と感じる方々は少なくないのではないでしょうか。我々が感じている地球の異常を、地球温暖化のせいだと科学的に証明することは非常に難しいことで、30年に1度程度しか起こらず、過去の観測データの中に 数回しか記録されていないので、その数回の記録を基に回数が増えているかどうかを議論するのは不可能です。また、異常気象はたまたまその時その場所に発生した大気の「揺らぎ」が重なって初めて発生します。この偶然起こったものの中に温暖化の影響を見出すためには、スーパーコンピュータの計算が必要になります。

イベント・アトリビューションという最新の温暖化解明手法。

最後に異常気象と温暖 化の関連を解き明かす新手法「イベント・アトリビューション」について簡単の述べてみます。

異常気象の発生確率の一番の問題は、観測データ量が少なすぎる点です。先に述べた通り、観測データに現れる天気は、無数にあり得る天気の中のたった一つの偶然です。そこで、気候モデルを使って、その時その場所に他にも起こり得た数々の偶然、いわゆる「パラレルワールド」を可視化する試みを行います。多数のパラレルワールドの中で、今回の異常な気象が発生している世界がいくつあるかを数えることで、その異常気象がどのくらいの確率で起こったのかを数値で表すことができます。

さらにモデルを用いると、人間活動による気候への影響をモデルから取り除いて、温暖化が起こらなかった場合の仮想の世界を作り出すことができます。この仮想世界にもパラレルワールドが存在しますので、同様の手法で発生確率を見積もり、温暖化が存在する世界と比較することで、地球温暖化が異常気象の発生確率をどの程度変化させているかを推定することが可能になります。このような試みを「イベント・アトリビューション」と呼びます。九州住環境研究会は異常気象にも負けない住宅を提供しています。