九州住環境研究会

No.121 高性能住宅とZEHの補助金制度!
住宅を建てる時に考慮しなければならないのは、
住宅を手放すときの資産価値!

2020年2月27日更新

老後資金は、年金プラス2,000万円必要の衝撃。

老後資金+2000万円問題が話題になったのは、昨年6月のことでした。発端は、金融庁が公表した『高齢化社会における資産形成・管理』という報告書です。その内容中の「老後に2000万円が不足する」という文言に、そんな資金はないと世の中が沸騰しましたが、これは余剰資金を持っている高齢者のタンス預金を、金融商品に換えることを促す内容でした。
ただ、確実に高齢化社会が現実化している現在、この問題は住宅建築を考えておられる今だからこそ真剣に向き合う必要があります。住宅建築は老後の資金計画に無縁ではないからです。

少子高齢化で、核家族が増えている現状では、親子の同居はなかなか難しい世の中になっているのも事実です。親は地元に残り、子は都会で生活しているからです。このような状況を踏まえて、今住宅を建てるということは、将来の子供との同居を想定して、少なくとも100年の寿命を持つ住宅建築が必要です。なぜ、子供との同居を想定した方がよいのか、それは住宅に資産価値があれば老後に手放すことも可能なだかです。つまり、よい意味の二股をかけて、どちらに転んでもプラスになる選択が出来るということです。

そのためには、住宅性能が問題になりますが、躯体構造の耐久性・耐震性は勿論のこと、断熱性能、気密性能に、最も重要なのは暖冷房の「全館空調」などの他に、設備関係も重要になります。国の方針は令和10年には、新築住宅の平均で「ZEH」の実現を目標にしています。

住宅が老後資金の不足分を補うということ。

先に、住宅建築には二股をかけるように指摘いたしましたが、その本意は、ご夫婦のどちらかが病気になった場合、住宅に資産価値があれば、住宅を売って医療費や老後資金に充当する方法があるからです。また「リバースモーゲージ」なども利用できるからです。

リバースモーゲージとは「家を担保にお金を貸してくれる」という制度です。老後の生活費を一時金または年金形式で借りられる貸付制度のことで自宅を担保に入れて、返済は金利分も含めて、自身が死亡した時などに、家を引き渡すか一括返済すればよいのがリバースモーゲージの特徴です。
リバースモーゲージは、公的年金や金融資産だけでは生活が難しい高齢者にとっては、自宅を担保に入れてそのまま住み続けて「豊かな老後」を送ることができます。 リバースモーゲージで借りられる金額は不動産評価額の50~70%が目安になります。

例えば不動産の評価額が3000万円なら、1500万円(50%)2100万円(70%)くらいの老後資金を受給することができます。金融という考え方で住宅の資産価値を考えれば、このような方法もあるということで「リバースモーゲージ」について紹介しましたが、理想的には、高性能住宅の長寿命は、都会で仕事をしてリタイアした場合の子供家族の受け皿を故郷に残してやることが主要な目的です。余命が50年以上もある住宅なら、子供家族は喜んで同居に賛成してくれるのではないでしょうか。

補助金の申し込みは、住宅性能を考えて申し込む!

表・1はZEHの補助金制度の概要です。補助金の金額は小さくないので、支援事業に応募したいと考えられる方は多いと思われます。すでに施工店から進められている方もいるかもしれませんが、九州住環境研究会では他の支援事業と異なりZEHの支援事業はあまり積極的にはお勧めしません。その理由は、参加棟数が限られているため、参加できなかった方に、不公平感が生まれるからです。次に、参加資格の住宅性能が低すぎて、九州住環境研究会、会員の住宅性能では、指定された設備(例えばエアコンの設置台数)が弊社の住宅性能では多すぎるなど、大きな無駄が生まれてしまいます。

九州住環境研究会もZEHについては積極的に推進していますが、設備的にはエアコン1台と補助エアコンの2台程度で、十分快適な住宅を実現させているので、補助事業で指定されている台数の設備の大半が無駄になってしまいます。この様に積極的に参加しないのは、補助金をもらうよりも数倍、省エネルギー効果で元が取れる住宅を実現させている自負があるからです。

インターネットの「ゼロエネルギー住宅.jp」には、ZEH補助金の詳細や様々な情報が記載されていますが、その中の「後悔していること」や別のスレッドの「ZEH後悔」「補助金の罠」等を見ると、失敗例に挙げられている多くが、補助金取得のために過剰設備になってしまった等、様々な失敗談も記載されていますから一読してみてはいかがでしょうか。
決してZEHを否定している訳ではありません。ただ現在の補助金制度には、参加しない方がお施主様の為になるということを認識し、施工法に自信と誇りを持って、皆様の住宅をお建てしています。

住宅は、断熱・気密・計画換気・全館空調等、総合的で科学的な視点で建設される時代になっています。皆様の最良の住宅を建てるために是非、九州住環境研究会の工務店にご相談くださいますようお願い申し上げます。

■鹿児島県対象の「ZEH」支援事業の概要。表・1

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