九州住環境研究会

No.102 温暖化関連企業には事業転換の圧力。
脱化石燃料に、全世界が株売り、融資禁止圧力を実施し始めている。
世界900超の機関投資家が温暖化関連企業から撤退!

2018年9月18日更新


脱化石燃料を目指して、世界の機関投資家が株売り圧力!

機関投資家とは、日本で言えば、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、普通銀行、信用金庫、年金基金、共済組合、農協、政府系金融機関など、大量の資金を使って株式や債券で運用を行う大口投資家のことをいいます。
世界中のこの様な機関投資家や政府系金融機関はいま、脱化石燃料を共通の目標として、石炭や石油・ガス等の気候変動を助長する企業に対し、ダイベストメント(投資撤退)を行い始めています。
化石燃料などの地球温暖化に関連する企業の株式や債券の売却を決めた機関投資家は、世界各国で900超にのぼると見られその資産規模は、約7000兆円にのぼり、実際に融資停止も始まっているようです。
一般的に機関投資家は、あまり短期間での売買をしないのが通常で、優良企業の株をじっくりリサーチしたうえで買いの判断を下し、長期的な企業の成長や経済の状況を見ながら運用し、上昇トレンドに乗り始めるとまとまった資金で買い足していくというスタンスで投資を行い、下降トレンドになれば、機関投資家の大量の売りが出ます。そういう機関投資家の動きは、株式の出来高によく表れるので、個人投資家も、機関投資家の売買タイミングを計って売買の参考にするので、機関投資家の動きは、世界の金の流れを左右することになり、企業業績や一国の経済活動にも大きな影響を与える事になります。

「パリ協定」・「持続可能な開発目標(SDGs)」採択が弾みに。

2015年の地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」の採択が弾みとなって、現実的な対応が金融の面から示された結果で、「買わない」や「貸さない」だけでなく、完全に「売り切る」や「撤退」に踏み込む積極的な流れになっています。

温暖化促進企業からの撤退を目指している世界の主な流れ。

アイルランド議会は、本年7月に「化石燃料ダイベストメント法」を成立させて、政府系ファンドが保有する石炭・石油などの化石燃料企業に関連する資産を今後5年以内に、運用総額の3・6%に相当する資産を全て売却することを決めた。米国ニューヨーク市は、化石燃料企業からの撤退を決め、エクソンモービルやシェブロンなど約190社、50億ドルを売却候補に挙げ、ノルウェーの公的資金は、石炭火力発電の比率が高いという理由で、日本の中国電力や北陸電力など、電力6社の株式を売却した。
このように環境負荷の高い企業からの撤退は、2018年7月の時点で900超に増加し、運用資産は合計で6・3超ドル(約700兆円)にのぼるとされ、日本総研の足達英一郎理事は「ダイベストメントには、気候変動リスクにつながる産業を徐々に縮小させる願いもある」と述べています。(日経・平30年9月5日より抜粋)

世界の金融機関と日本の金融機関の対応。

このような急激な温暖化促進企業への対応の変化は、気候変動による、世界で多発する異常気象や自然災害が経済成長を妨げかねないという懸念が投資家の間にも強まっていることが背景にあるようです。
欧州の金融大手は昨年度で採炭や発電施設への新規融資の停止を決定しており、我が国でも三井住友信託銀行が石炭火力発電事業向け融資の原則停止を発表。世界的にこの流れは止まらない流れになっています。
我が国は、原子力に傾斜しすぎて来ましたが、再生可能エネルギーも民間主導で年々、発電料も大きくなり、九州電力管内では、ピークカット(出力抑制)の要請が出るまでに発電量も延びています。

パリ会議のもう一方の主役「SDGs」とは?

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(Leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省・広報)

50年前の「成長の限界」を継承「アジェンダ17」。

イタリア・オリベッティ社の会長「アウレリオ・ペッチェイ」とイギリスの科学者「アレクサンダー・キング」が、資源・人口・軍備拡張・経済・環境破壊などの全地球的な問題に対処するために設立した「ローマクラブ」。世界各国の科学者・経済人・教育者・各種分野の学識経験者など100人からなり、米国のデニス・メドウズらによる第一報告書『成長の限界』(1972年)では、100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしており、破局を回避するためには地球が無限であるということを前提とした従来の経済のあり方を見直し、世界的な均衡を目指す必要があると論じていました。
「SDGs」は、2022年で50年を迎える「成長の限界」を検証し、今後の地球の未来を世界中の人々が責任を持って考え、一人も取り残さない、持続可能な開発によるゴールを目指すという崇高な理念から提唱されています。
世界各国が応分の責任を持ってアジェンダ(行動計画)を遂行し、上記の17項目の実現を目指すことを「パリ会議」において約束し、各国で実現に向けて取り組まれています。松下孝建設も賛同し取り組んでいます。

子世代が同居を望んでも、親世代が近居を望む?

近居の明確な定義はありませんが、車で30分以内の距離に親子世帯が住むことを指す場合が多いようです。同居や近居が注目されているのは、子育て世代の子育てに関する不安などもありますが、最も大きな原因は、夫婦二人のゆとりの生活が、子供が生まれた事による、経済的な変化や負担の増加にもあるようです。夫婦共働から、妻の方が仕事を失うケースも多く、家計の負担も増えるのに、収入が激減する訳ですから、一挙に経済的な生活苦が始まります。
一方、親世代は自宅もあり、リタイアしても悠々自適に暮らしている例が多く、中々孫の面倒は見たくない訳ですから、子世帯も「ややそう思う」と遠慮して答えるしかありません。
バブルを謳歌した世代と低成長の時代の子供世代との隔たりも大きく、親子がもう一度、真摯に家族のあり方を考える時代になっています。いま子世代に協力しなければ、親世代も老後の面倒は見て貰えません。
少子化を少しでも食い止めるためには、バブル時代の核家族から、家族の形をバブル前の多世代家族に戻すしかありません。親世代の我が儘を通すのではなく、子供の意見も少し聞き入れてあげたら、孫達に囲まれた幸せな老後が待っています。松下孝建設は、家族の皆様を応援しています。